貯蔵期間の異なる米の搗精歩合と浸水時間の相違が炊飯に及ぼす影響について
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概要
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1) 貯蔵期間の延長は, 吸水率, 脂肪酸度, 飯粒の伸長, 脱水速度, テクスチュロメーター値, 色差, 官能検査等からかなり品質の劣化が進んでいることが証明された。この現象は外層部より漸次進行していると思われた。古米化現象が先行する外層部を飯としての風味を損なわない程度に除去することにより, 改善されると思われた。2) 古々米の搗精度を高めることにより, 次のことが判明した。i) 吸水率は高く新米に近くなり, 短時間で行なわれた。ii) 脂肪酸度もさがり, 80%精米では新米と略々同じ数値になった。iii) 飯の脱水速度が小さく, 脱水率も低くなる傾向を示し, おいしい飯の条件に近づいていった。iv) テクスチャーの面では, 80%精米は適度に硬さは小さく, 粘りは大きくなる傾向を示した。60%精米では, 硬さ, 粘りのバランス度が悪く不適当であった。v) 色では, 搗精度を高めることにより新米との色差は縮まり, 60%精米では新米92%より白くなった。vi) 官能検査では, 80%精米が好まれた。これ等の結果より, 80%前後の精米にすることは, 食味向上の有効手段と考えられる。3) 古米化が進む程吸水率は低下するが, 炊飯前処理としての浸水は炊飯の必要条件で飯の脱水速度, テクスチャーで証明された。しかし古々米はその効果が僅少で搗精度を高めることにより改善された。
- 日本調理科学会の論文
- 1986-12-20
著者
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