米胚乳内外部澱粉の性質について
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概要
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4品種の米粒の外部と内部米粉を湿式搗精法で分離し,澱粉粒をアルカリ法で精製した.これら澱粉粒の理化学的性質についての実験結果は以下のとおりである: (1) 外層部澱粉粒は中心部澱粉粒より平均粒径が0.5〜1.5μmほど小さかった. (2) ヨウ素呈色法とヨウ素親和力との結果から外層部澱粉のアミロース含量のほうが低かった. (3) 糊化特性では,外層部澱粉のほうがDSCのTpとミニアミログラフィの糊化開始温度で示される糊化温度は高いが,吸熱量が低かった.沸騰水中への溶出物は外層部澱粉のほうが多く,とくにアミロペクチンが増加した.アミログラフィ特性でもうるち米外層部澱粉と中心部澱粉では差があった. (4) グルコアミラーゼ分解に対する抵抗性は外層部澱粉のほうが弱かった. (5) 枝切り酵素処理-ゲル濾過の溶出パタンにおいてアミロペクチン由来部分は外層部澱粉と中心部澱粉と異なっていなかったが,β-アミラーゼの分解限度は外層部澱粉のほうが低い傾向を示した. (6) 脂質含量は外層部澱粉のほうが多く,うるち米の外層部澱粉のDSC曲線に95°Cでアミロースと脂質複合体の融解吸熱が現れた. (7) 蛋白質含量は中心部澱粉のほうが多く,SDS-PAGEで銀染色後,中心部澱粉のあるバンドが濃かった.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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