企業の境界に関する所有権アプローチ
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
The distinction between markets and hierarchies emphasizes that production can be organized within one firm or among several firms, depending on whether the principal means of production are controlled by a single person (or group), or distributed among several. Property rights approach develops a useful framework and notation for examining how changes in the distribution of asset ownership affects the incentives of the individuals who work, directly or indirectly, with those assets and they establish a number of propositions regarding the optimality of different ownership structures. An explanation will be given to incentive problems as well as firm boundaries from a view of property rights approach. Whether an organizational structure provides full incentives will depend on how information and nonhuman assets are owned and controlled.市場かヒエラルキーかという企業の境界問題あるいは範囲問蹕について、取引費用の経済学が交渉費用の節約の観点から(例えばCoase, 1937, 1960; Williamson, 1985)、エージェンシー理論がインセンティブの確保の面から分析しようとした(例えばHart and Holmstrom, 1987)。また、経営資源アプローチは、資源の多重利用による関連多角化あるいは費用削減効果に注目し、しばしば企業の範囲に言及している(例えば、Teece, 1982, Winter, 1987)。しかし、いずれも説明が一面的であり不十分なところがあると思われる。所有権アプローチ(Grossman and Hart, 1986 ; Hart, 1989 ; Hart and Moore 1990)は、価値創出に必要な資産の所有権と個人あるいは組織のインセンティブ関係に注目し、資産所有権の所在が企業組織にどのような影響を与えるかを解明した。本稿では、このフレームワークを用いて、企業の境界問題およびいくつかの状況におけるインセンティブ問題を検討していく。本稿では、最初に所有権アプローチに基礎的な概念を与えた取引費用の経済学やエージェンシー理論を概観する。次に不完備契約の際のインセンティブ問題を考察し、最後に資産所有権にもとづく解決について、3つの資産分布のパターンを例に分析する。
著者
関連論文
- 日本企業の行動特性と埋め込み関係
- 組織と社会関係資本
- 社会関係資本と企業業績 : 組織横断型の協力関係と橋渡し促進の関係
- 経営情報学の再構築をめざして
- 企業の境界に関する所有権アプローチ
- 社会関係資本と信頼概念
- 知識移転を妨げる要因への対応
- SCMの存立基盤とコスト指標について
- 研究報告 ビジネスゲーム教育の可能性について
- 競争戦略におけるネットワークの外部効果について
- グループ経営 : 子会社間協力の形成
- 外部コンピタンスの活用に関する考察