看護行為におけるジレンマと倫理的意思決定 : ケース・スタディーによる考察
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概要
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看護婦はしばしば臨床の現場で倫理的なジレンマに悩む。しかしそれをどう解決するかについては、これまでほとんど議論がされてこなかった。トンプソン等は著書において、倫理的にジレンマを解決するための10段階のプロセスを示した。即ち、1.全体的状況の振り返り2.補足的情報収集3.倫理問題の明確化4.看護婦の個人的及び職業的価値観の明確化5.鍵となる個々人の価値観の明確化6.価値葛藤の明確化7.意思決定者の決定8.解決のための行為の選択肢と予測結果の明確化9.行為の決定と実践10.結果の評価、等々である。本論文では、わが国の実例を用いて、この理論が具体的に展開され、ジレンマの倫理的解決のための一手段が提示される。事例は入院期間が制約されている一痴呆高齢者に関するもので、おむつの使用をめぐる、本人、病棟スタッフ、家族等々の葛藤と解決手段が紙上で考察される。看護行為における意思決定のあり方を省察することで、ナーシング・アドボカシーの精神に沿った倫理的な看護行為も可能になると確信できる。
著者
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