育苗箱処理したカルタップのイネ体への移行と吸汁性昆虫に対する殺虫力
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概要
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育苗箱でカルタップ粒剤を処理したイネを移植し,イネ体中のカルタップ濃度をガスクロマトグラフィーで定量してその推移を明らかにした。同時に,このイネのツマグロヨコバイ,ヒメトビウンカに対する殺虫力の変化も調べた。その結果,カルタップは育苗箱ではもちろんのこと,移植後にも大量にイネに吸収されることが明らかになった。また,上記2種昆虫の死亡率から推定された吸汁部位での濃度は化学定量値と一致せず,移植後3日以降には両者は平行して推移するが,化学定量値が常に高かった。さらに,カルタップ水溶液にイネを浸根する実験から,イネ体内のカルタップ量は導管から吸収されるものだけでは説明できない場合があり,他の部分から吸収・移行する経路を考えなければならないこと,カルタップが葉身のしかも上記昆虫の吸汁部位以外の部分に蓄積すること,および,殺虫力の発現には導管内のカルタップばかりでなく,篩管内のカルタップが関与していることが明らかになった。篩管内カルタップが殺虫力に関与すると考えると,ツマグロヨコバイ,ヒメトビウンカそれぞれの死亡率から推定された吸汁部位での濃度の相違が説明される。
- 1978-05-25
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