低温のスジマダラメイガの発育におよぼす影響と異常性形質の発現について
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概要
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長期にわたって30°Cで継続飼育されてきたスジマダラメイガを,いろいろな温湿度条件下で飼育したところ,25°C以下の温度で飼育すると雄性交尾器に異常が多数みられた。湿度をかえても異常は生じなかった。飼育温度が低いほど雄の羽化率は低くなり,異常形の出現頻度は高くなった。また20°C以下では雄はほとんど羽化しなかった。雄では3, 4令,雌では3, 4, 5令の時期に5日間低温(20°C)に保つと,発育がとくに阻害された。しかし雌では1, 2令期に低温に保つと,積算温度法則で期待されるよりも発育が促進された。1, 3令,前蛹および蛹の時期に低温に保つことによって,異常がとくに多く現われた。卵期には影響がなかった。これらのことから,低温の効果は雄と雌とで異なり,雄の精巣発達の時期と交尾器形成伸長期に影響がみられるものと思われる。25°Cという比較的好適な温度で,発育および性形質に異常が生じたのは,用いた系統が長い期間にわたって30°Cの恒温で維持されて,その温度に順化され,少しの温度変化にも敏感になっているからであろう。雄の異常形としてvinculumが少し奇形なもの,valvaの片方が奇形なもの,valvaとaedoeagusの退化したものや,なかには交尾嚢をもった雌雄両型やvalvaが片方に2枚あるもの(強雄性)もみられた。雌雄両型の交尾嚢の開口ostium bursaeは雌の交尾口の位置についての定説と異なり,第8と第9腹板との間にある。またovipositorとuncusとは相同性の器官のようにみえる。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1964-06-25
著者
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