寄主と寄生蜂との相互作用系における両者の生活史の同時性
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概要
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寄生蜂Nemeritis canescensは寄主コナマダラメイガのどの令期に寄生するかを30°C,70%R.H.の実験条件下でしらべた。寄生蜂は寄主の幼虫のどの令にも寄生しうるが,寄生蜂の発育所要日数は,寄主の若令幼虫に寄生した場合は長く,成熟した幼虫に寄生した場合は短い(約18日)。したがって常に寄主の羽化時期より5∼7日おくれて寄生蜂は羽化する。寄生適期は寄生蜂の発育所要日数と次世代羽化数とから考えた時はコナマダラメイガの産卵後19∼22日目の幼虫期となる。コナマダラメイガとNemeritisをいっしょに定期的に食物を追加して飼育すると,寄生蜂の成虫個体数変動は寄主成虫のそれに完全に依存しているが,これは寄生蜂の羽化が寄主の発育に支配されているからと考えられる。この寄生蜂の産卵期と寄主の被寄生適期との同時性は不完全であり,寄生蜂の増殖能力は十分に発揮されていないであろう。ノシメコクガはコナマダラメイガとほぼ同様な生活史をもっているが,これにNemeritisが寄生した時にはコナマダラメイガに寄生した場合と異なった個体数変動の経過を示す。この理由として,ノシメコクガ個体群には発育のおくれる個体が現われて成虫の羽化が整一に起らないことと成虫の生存期間が比較的長いことによると考えられる。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1957-12-01
著者
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