伝統医学的療法による変性意識体験と癒しロボットの効果の仕組み : 生命情報のレベルからのアプローチ(特別講演2)(第17回生命情報科学シンポジウム)
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概要
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伝統医学の代表的なリラックス法である頭部滴油療法(シローダーラー)の心理的・生理的効果について調査し、伝統医学的生命観に従って効果の仕組みを考察した。まず健常成人16名を対象として、文書による同意を取得後、オイル循環装置を使い、頭部滴油療法を用手で行った。同じ被験者が、無作為の順序で、臥位対照実験にも参加した。その結果、頭部滴油療法により、脳波におけるα波の前頭部へのシフト、1回換気量や二酸化炭素排泄量の有意な減少、心拍数の有意な減少など、対照実験では認められなかった変化を頭部滴油療法において認めた。次に、57名の被験者を対象にして、前の実験と同じ条件で施術する癒しロボットを試作し、全員同じ条件(オイル温度、オイル流量、オイル滴下パターン、オイル滴下部の移動速度)で施術した場合の、心理的変化について、斉藤らの開発した変性意識体験問診表、不安度検査表(STAI)を使って調査した。また、頸部、手背部、足背部の皮膚温も熱電対を使って連続測定した。その結果、施術者の80%近くが、何らかの変性意識体験をしており、状態不安の低下も有意なものであった。さらに変性意識体験の深さは、不安度の低下とも有意に相関した(r=-0.34,p<0.01、Spearman's method)。また、変性意識体験の深さと足背部皮膚温とが有意な相関性を示した(r=0.35,p<0.01、Spearman's method)。伝統医学特に古代インドの生命観では、意識→心→肉体という具象化の過程を過程している。頭部滴油療法の効果も、意識のレベルの変化を起こし、それが不安度の低下という心の変化を起こし、その結果、肉体的に足背部皮膚温の上昇という結果をもたらしたものと推定された。このような意識(情報)→心→肉体という具象化のプロセスを、「Spiritual Biotechnology」と呼ぶことを我々は提唱したい。それは、現代医学的な、ゲノム(情報)→プロテオーム→肉体というBiotechnologyと酷似している具象化のプロセスであるからである。このような現代医学の概念と対応させることで、伝統医学的な治療法の効果の仕組みと活用方法の発展、さらには現代医学の発展をもたらすことができるのではないかと思われる。
- 国際生命情報科学会の論文
- 2004-03-01
著者
-
上馬場 和夫
富山国際伝統医学センター
-
立瀬 剛志
富山大学医学部保健医学教室
-
立瀬 剛志
富山大学 大学院医学薬学研究部保健医学教室
-
上馬場 和夫
富山県国際伝統医学センター
-
許 鳳浩
富山県国際伝統医学センター
-
許 鳳浩
富山大学和漢医薬学総合研究所未病解析応用研究部門
-
小川 弘子
富山大学和漢医薬学総合研究所未病解析応用研究部門
-
小川 弘子
富山県国際健康プラザ・国際伝統医学センター
-
上馬場 和夫
富山大学和漢医薬学総合研究所未病解析応用研究部門
-
立瀬 剛志
富山県国際伝統医学センター
-
田口 祐紀子
富山県国際伝統医学センター
-
久島 達也
横浜市立大学医学部解剖学第2
-
上馬場 和夫
富山県国際健康プラザ
-
久島 達也
富山県伝統医学センター
-
小川 弘子
富山県国際健康プラザ 国際伝統医セ
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