遠隔成績よりみた高齢者における僧帽弁置換術の代用弁の選択

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高齢者の僧帽弁置換術の代用弁の選択は議論の残るところである.今回,遠隔成績により異種生体弁と機械弁のどちらが高齢者の僧帽弁置換術の代用弁として適しているかを検討した.1984年8月から2002年10月までの65歳以上の単独僧帽弁置換術54例を対象とした.機械弁置換術群は27例,男性7例,女性20例,平均年齢67.9±2.6歳,異種生体弁置換術群は27例,男性5例,女性22例,平均年齢70.4±4.1歳であった.累積生存率は機械弁置換術群で術後5年,89.2±7.2%,10年,78.0±12.2%,異種生体弁置換術群で術後5年,77.2±10.2%,10年,51.4±16.3%で2群間に有意差はなかった.弁機能不全非発生率は機械弁置換術群で術後5年,10年ともに89.1±7.3%,異種生体弁置換術群で術後5年,10年ともに87.5±8.3で2群間に有意差はなかった.血栓塞栓症非発生率は機械弁置換術群で術後5年,10年ともに94.4±5.4%,異種生体弁置換術群で術後5年,10年ともに94.4±5.4%で2群間に有意差はなかった.術後の出血非発生率は機械弁置換術群,異種生体弁置換術群とも術後5年,10年ともに100%で2群間に有意差はみられなかった. 85歳以上の高齢者の僧帽弁位代用弁置換術では,異種生体弁の最大の難点である耐久性,機械弁の問題点である抗凝血薬療法による出血は2群間に有意差はみられなかった.代用弁の選択としては,遠隔期に心臓以外の外科手術を受ける際の危険性や正確な抗凝血薬療法の維持が困難になると思われる状況を有する高齢者の特異性を考慮すれば抗凝血薬療法の中止が可能な異種生体弁が推奨されるものと考えられる.
兵庫医科大学の論文
2003-04-25

遠隔成績よりみた高齢者における僧帽弁置換術の代用弁の選択

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