セイヨウナシくもの巣病菌(Rhizoctonnia solami AG1)のrDNA-ITS領域のRFLP解析およびRAPD解析による識別
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概要
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セイヨウナシくもの巣病が岡山県のナシ園で発生した。本病の病原菌は培養形態においてRhizoctonia solani AG1-IBに類似していた。また、菌糸融合頻度においてもAG1-IAやAG1-ICよりもAG1-IBと高かった。しかし、R. solani AG1-IBは土壌から伸長した菌糸によって宿主植物の根や茎葉に感染するのが一般的であるのに対し、本病害は樹上から30cm〜150cm離れた葉や枝で発生した。また、葉では斑点性の病斑も認められた。これらのことから本病害はAG1-IBの胞子感染によるものか、または本病原菌自体がAG1-IBとは異なるAG1内のサブグループである可能性が考えられた。これまでにAG1-IBが完全世代を形成したとの報告はなく、また、くもの巣病菌が発生したナシ園の圃場でも本菌の完全世代は見出せなかった。本菌とAG1-IA,IBおよびICの菌株をDNAレベルで比較を行ったところ、rDNA-ITSのRFLP解析において本菌はAG1-IBとほぼ同じパターンを示し、AG1-IAおよびAG1-ICとは明らかに異なっていた。またRAPD解析によって作成した系統樹において本菌はAG1-IBとともに一つのクラスターを形成し、AG1-IAとAG1-ICのそれぞれのクラスターとは明らかに分かれた。よって、本菌はR. solani AG1-IBであることが明らかになった。
- 岐阜大学の論文
- 1998-12-26
著者
-
戸田 武
ノースカロライナ州立大
-
那須 英夫
岡山農試・果樹試
-
那須 英夫
岡山県農業総合センター農業試験場
-
景山 幸二
岐阜大学農学部
-
戸田 武
Department Of Plant Pathology North Carolina State University
-
百町 満朗
岐阜大学農学部
-
戸田 武
岐阜大学農学部生物資源生産学科
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