ビールオオムギの脱穀過程における発芽障害に関する研究 第3報 : 障害の発生機構と品種間変異
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概要
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ビールオオムギの脱穀過程における発芽障害の発生機構を探求し,障害に関する品種間変異を検証し,関連する形質を探求するためにこの研究を実施した。1.ビールオオムギ10品種を用いて出穂後25曰,30曰,35曰,40曰および45曰における麦粒の含水率および胚と穀皮内壁との間に生じる空隙の大きさを測定した。登熟に伴って含水率が低下し,約30%に達すると空隙が生じた。含水率の低下,空隙の発生・拡大の様相には品種間変異が認められた。2.上記の10品種のうちキリン直1号,ニューゴールデンおよびふじ二条を用して衝撃実験を行った。衝撃粒の発芽勢は登熟とともに上昇した。しかし,ふじ二条および衝撃力を大きくした場合の手リン直1号は出穂後45曰に発芽勢が低下した。多分,枯熟に近づいて穀皮がぜい弱になったためと思われる。衝撃粒すべてについて,また衝撃粒のうち不発芽粒について,TTC検定を行った。傷指数は概して登熟がすすむとともに大きくなったが,ふじ二条は傷指数の一番小さい品種であり,発芽勢も良好であった。とくに,ふじ二条は出穂後40曰に大きな空隙が生じ,これが衝撃に対する緩衝効果をもつと思われる。3.登熟とともに麦粒の衝撃に対する耐性は強くなる。その耐性には胚,胚乳,穀皮および上述の空隙が関与しているものと思われる。しかし,これらの要素の耐性に対する寄与率は麦粒の発育段階によって変化する。また各要素の寄与率の大きさおよびその変化の型は品種特異的であり,結果として衝撃による発芽障害に関する品種間変異が生じるものと思われる。
- 岐阜大学の論文
- 1984-12-15
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