ジベレリンによって誘導されるバンドの変異とそれらの遺伝子の座乗染色体腕 : コムギのα-アミラーゼ・アイソザイムに関する遺伝学的研究 V
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概要
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コムギ種子の発芽の際の外生ジベレリンによるα-アミラーゼ・アイソザイムの誘導とその遺伝的変異およびそれらの遺伝子の座乗染色体腕を明らかにする目的で、ゲル等電点焦点法でα-アミラーゼを分析した。パンコムギの一品種Chinese Springの正常種子とジベレリン処理したい胚付切半種子のザイモグラムの比較から、いずれも第六同祖群の染色体上の遺伝子によるバンドが第七群のそれらより早く出現あるいは消失することを確認し、切半種子では置床後2〜7日目にザイモグラムの中央部(バンド9と11の間)に6本(10-a、10-c、10-d、10-f、10-gおよび10-i)のバンドが新たに出現することが判明した(Fig.1)。ジベレリン(GA_3)処理された無胚種子および切半種子でも先の胚付切半種子と同様のザイモグラムが観察された(Fig.2)。6本のバンドは10^<-10>MのGA_3では活性化されないが、10^^<-8>MのGA_3での発芽24時間目あるいは10^<-6>Mでの15時間目にほぼ同時に観察された。さらに、これら6本のバンドはカミソリで軽く傷つけた種子でもみられた。パンコムギにおけるGA_3誘導バンドについてのナリーテトラおよびダイナロソミック分析から、第七同祖群の長腕にそれぞれ2本ずつのバンドを支配する遺伝子が存在することがわかった(Table 1)。すなわち、7AL上に10-cと10-i、7BLに10-fと10-g、ならびに7DLに10-aと10-dをコードする遺伝子が同定された。加えて、バンド13'、14および15に関与する未同定の因子が推定された。バンド9と11の間に存在する8本(倍数体コムギの1O-dを除く5本と一粒系の3本の計8本)のバンドに関して(Fig.3)、21系統の普通系、30系統の二粒系コムギは各々3つの型に分けられた。チモフェビー系(4系統)と一粒系(2系統)は共に多型ではなかった(Table 1)。ザイモグラムの変異から、コムギおよびその近縁種でα-アミラーゼ遺伝子の平行突然変異が生じており、このアイソザイムはよい標識遺伝子になることが分かった。パンド10-a、10-g、11および14の遺伝様式を決定できなかったが、バソド10-aと11の遺伝子の連鎖およびバンド10-gと14の対立性が明らかになった(Table 2)。
- 1988-06-01
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