端部動原体型染色体法によるコムギのネクローシス遺伝子,Ne1およびNe2の座位の決定
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概要
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コムギの種間,変種間または品種間雑種には,その組合せによってネクローシスまたはクロローシスだとの発育異常があらわれ,その個体の致死または高度の不稔性の原因となる。したがって,そのような組合せの雑種の後代の育成は極めて困難である。この論文で取扱ったネクローシス(progressive necrosis)はコムギにおいて,もっともよく研究された雑種の発育異常の1つの型であって,補足遺伝子,Ne1およびNe2によってひきおこされる。 Tsunewaki(1960)によってNe1は5B染色体上に,Ne2は2B染色体上にそれぞれ座乗することが報告され,またZeven(1972)はNe1が5B染色体の長腕(5BL)にあることを示した。この論文では端部動原体型染色体(telocentric chromosomeまたはテロソーム)を用いて,Ne1およびNe2遺伝子座とそれぞれの染色体の動原体との間の図距離を求めた。 ネクローシス遺伝子の検定品種として,Prelude,Triticum durum LD 222(ともにNe1/Ne1 ne2/ne2)およびAtlas 66(ne1/ne1 Ne2/Ne2)を用いた。 Chinese Springのditelosomic 5BL(5B染色体の短腕,5BSの1対を欠失)にPreludeを交雑して,5B染色体について正常とテロソーム 5BLの異型接合(monotelodisomic)であると共にNe1遺伝子座についても異型接合(Ne1/ne1)であるF_1を育成した。これをAtlas 66に検定交雑し,次代の各個体について表現型と染色体を調べた。この場合,正常でテロソームをもたない個体およびネクローシスを発現して,テロソームをもつ個体は交叉型である。調査個体数233のうち交叉型は24個体であった。この交雑におけるF_1では,藪谷(未発表)の観察によると,5B染色体の不対合が2%の頻度でおこるので,この分だけ補正して交叉価を求めた。すなわち,Ne1遺伝子座は15B染色体の長腕上で,動原体からの図距離10.5±2.0単位の位置にあることがわかった。
- 日本育種学会の論文
- 1974-12-31
著者
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