水稲峰光に生じた小穂異常突然変異稲の一般的特性と小穂の形態的特徴

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水稲峰光に生じた小穂異常突然変異系統の諸特性を峰光と比較調査すると共に,異常小穂の形態的特徴を明らかにした。1.変異系統は峰光に比して出穂始めが約5日遅延したが,草丈その他の生育特性にはほとんど差が見られなかった。また1個体当たりの有効茎数および1穂当たりの穎花数にも差が見られなかった。登熟期間中に遅発分げつが多発し,全乾物重(モミ重+ワラ重)には峰光と差が見られなかった。2.種子稔性は3.0%と著しく低かった。穀粒は穎に包まれることなく露出しており,玄米1粒重は峰光の22.6mgに対して8.6mgと小さく,粒は細長く長粒種に類似していた。3.変異系統の小穂は通常の小花の上にさらに小花が附加的に形成された1小穂2小花構造であり,外観的にぱほぼ同様の異常小穂が全株,全穂に観察され,キノラ現象は全くみられなかった。自殖次代にも全く同様の異常小穂を示し,分離はみられなかった。したがって,本変異系統は蜂光から生じた1因子性の劣性自然突然変異であると考えられた。4.副護穎および護穎は正常であったが,外穎はすべて細長く葉状化し,内穎の発達は不良で膜状化している場合が多く,内・外穎の釣合は見られなかった。5.雌ずいの退化欠失および奇形化が見られたが,受粉機能を妨げるような著しい奇形化は少なかった。雄ずいは1小花当たりの本数に減少がみられ,発達不良の葯が見られたが,花粉稔性は約90%と高かった。したがって,不穏の原因は葯数の減少と葯の裂開不良による受粉・受精障害によるものと推察された。そして,葯の裂開不良の原因として,内外穎が正常に釣合せず,雄ずいが常に外気にさらされているため,乾燥その他外部環境の影響を受ける結果と考えられた。またこのような状態は受精した子房の発育や米粒の肥大に悪影響をおよぼすと考えられた。
岐阜大学の論文
1983-12-15

水稲峰光に生じた小穂異常突然変異稲の一般的特性と小穂の形態的特徴

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