本社の一部門に業務を集中する形態でのシェアードサービスの導入 : コストセンターとしての管理とその問題点(澤 悦男教授退任記念号)
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概要
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シェアードサービスとは,社内または企業グループ内で分散して行われている間接業務を,ある社内部門または子会社に集中した後に業務を標準化し,一元的に処理を行うというマネジメントの手法である。シェアードサービスは,その形態により3つのタイプに分類することができるが,本稿では,タイプa)に分類される,本社の一部門に業務を集中する形態をコストセンターとして管理している場合,この形態を企業が選択するメリット,およびタイプa)の形態によるシェアードサービスを成功させるための留意点について検討する。さらに,タイプa)の形態からタイプb)の形態への移行についての検討も行う。タイプa)の形態には,3つの長所がある。第1に,シェアードサービスセンターをコストセンターとして扱うことが可能なために,タイプb)の子会社方式によるシェアードサービスとは異なり,シェアードサービスを導入しても利益創出にこだわらなくてすむ。第2に,既存の社内部門を利用するなど,大幅な組織変更を伴わずにシェアードサービスを実行することができる。第3に,シェアードサービスセンターとグループ全体の目的をコスト削減に向けて一致させやすい。しかし,これらの長所はあるものの,業務の標準化を達成し,会計的目的であるコスト削減を実現するためには,シェアードサービスの実施プロセスで従業員の意識改革を実行し,また活動基準原価計算(ABC)と活動基準原価管理(ABM)を導入する必要がある。その後の課題として,タイプa)の形態で力を蓄えた後にタイプb)の形態に移行するプロセスは,シェアードサービスの導入に関する一つのモデルプランになるであろう。
- 2001-12-25
著者
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