自製か購入かの意思決定の再検討(1) : 戦略的管理会計の観点から
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概要
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本稿は,自製か購入かの意思決定に関する2編の連続した論文の前編である。本稿では,自製か購入かの意思決定を戦略的管理会計の立場から考察し直す必要があることを指摘する。次に,戦略的管理会計の観点から,自製か購入かの意思決定で用いられる差額原価収益分析の問題点を指摘する。自製か購入かの意思決定は,一般的に日常の業務に関する業務執行的意思決定の問題として取り扱われているが,戦略的管理会計の立場から自製か購入かの意思決定を考察すべき根拠としては,(1)意思決定が企業戦略と事業戦略の影響を受けていること。(2)価値連鎖に関係した意思決定であること。(3)意思決定が及ぼす長期的な影響を考慮する必要があること。(4)自社の技術に関する戦略的位置づけが意思決定に重要な影響を与えていること。(5)グローバリゼーションの進展により海外サプライヤーが増加していること。(6)アウトソーシング概念の普及により,外注を戦略的に用いるという考え方が浸透しつつあること。の以上少なくとも6つの理由をあげることができる。戦略的管理会計の観点からは,自製か購入かの意思決定で用いられる差額原価収益分析についてさまざまな問題点を指摘することが可能である。本稿では10項目にのぼる問題点を指摘しているが,そのうちの9つの問題点が戦略的な視点の欠如に起因している。
- 1998-04-25
著者
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