管理職層におけるホワイトカラーの仕事とその専門性 : 管理職と専門職の比較分析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ホワイトカラーの人事管理については,キャリア形成に関してはこれまで数多くの研究が行われてきたが,仕事の特徴や進め方,或いは各々の仕事にどの程度時間を配分しているかといった点は,これまで必ずしも充分研究が行われているとは言えない。この論文では特に管理職層を念頭に置いて,仕事や専門性,その働き方が階層内或いは管理職層とそれ以外でどの様な違いがあるかを検討する。「管理職層」の職務は,大別して「管理職」と「専門職」に分かれる。管理職とは,「他人を管理することを通じて組織に貢献する者(具体的には部下の評価を行い,売り上げや利益に責任を持つライン管理職)」,また専門職とは「自らの専門性を通じて組織に貢献する者」と定義できる。それでは,こうした「管理職」と「専門職」の役割の違いは,彼等の仕事やその進め方,さらにその前提となる仕事能力に,どの様な違いをもたらしているのか。本稿では,上記の点について,(1)仕事の内容及びその進め方,(2)仕事の専門性,(3)特定1週間の時間配分,という3つの側面から検討したい。郵送質問紙調査の結果明らかになった事実は,以下の通りである。(1)「新規大卒社員が現在仕事を行うために必要な勤続年数」,「現在の仕事を行うために必要な教育レベル」から見る限り,専門職の「仕事の専門性」は管理職に比べて必ずしも高くない。また社会的資格の必要性についても,管理職と専門職に殆ど差はなかった。(2)「仕事の内容」や「仕事上の権限,仕事の進め方」からすると,専門職は管理職に比べ,一人で仕事を進め,時間的にも裁量性の高い者が多い。また,「会議や打ち合わせ」に多くの時間を割く者も,管理職に比べれば少なくなっている。(3)専門職は管理職に比べて,「入社1,2年の新人でも担当できる仕事」を担当し,「自分の仕事に付随する補助的な作業」に多くの時間を費やす者が多くなっている。
- 慶應義塾大学の論文
- 2001-10-25
著者
関連論文
- 管理職への選抜・育成から見た日本的雇用制度 (特集 日本的雇用システムは変わったか?--受け手と担い手の観点から)
- 何が過剰労働を引き起こすのか--労務管理の現場から (特集・職場環境の変化とメンタルヘルス)
- 多面評価制度の日本企業、 外資系企業比較 : 製造業の事例 (これからの評価制度)
- これからの評価制度 (No.47 これからの評価制度)
- 管理職層におけるホワイトカラーの仕事とその専門性 : 管理職と専門職の比較分析
- 成功する転職とは (「転職新時代」)
- 製薬業における賃金制度の日本企業,外資系企業比較
- 出向・転籍者と中途採用者 : 45歳以上ホワイトカラーの社外からの受け入れ実態
- 配置・昇進・人材育成と管理職の機能
- 中途採用労働市場の現状と今後の動向 : 成長企業を中心にして
- 金融機関における大卒ホワイトカラーの雇用管理の日英比較
- 企業内昇進における「効率」と「動機づけ」 : わが国企業における資格制度の機能について
- ロンドンの日系金融機関における日本人出向者の役割
- 人材獲得競争で勝ち残るために (特集 多様化する人材力獲得戦略)
- 人事制度の国際比較 多国籍企業内労働市場における収斂と差異化
- 個人選択型人事制度とファスト・トラック--企業内労働市場の多様化にどの様に対応するか
- 定年延長と継続雇用制度--60歳以降の雇用延長と人的資源管理 (特集 高年齢者雇用)
- なぜ「名ばかり管理職」が生まれるのか (特集 その裏にある歴史)
- 投資銀行における賃金制度の資本国籍間比較--ロンドンと東京 (2006年労働政策研究会議報告 賃金制度の見直しと賃金政策) -- (賃金制度の国際比較[含 討論])
- イギリスの投資銀行--日系企業と非日系企業における管理職層 (特集 管理職の役割変化と雇用関係)
- 書評 柳田雅明著『イギリスにおける「資格制度」の研究』
- 高齢者雇用を拡大するためには何が必要か (特集 これからの企業人のキャリアと高齢者雇用 : 雇用環境の変化の時代へ)
- 管理職の育成、活用、処遇は如何にあるべきか
- 異なる組織フィールド・同一組織フィールド内の企業間の人事戦略比較(セッション8【研究発表】)