製薬業における賃金制度の日本企業,外資系企業比較
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿では,製薬業界を念頭に置いて現在日本の賃金制度にどの様な変化が生じているかを外資系企業との比較において検討する。日本企業の賃金制度は年功的であり,人事管理の「グローバルスタンダード」に適応できないという議論がなされることが多い。しかし日本企業と外資系企業の賃金制度を比較することによって,賃金制度において彼我の間にどの様な違いがあり,またどの部分が共通しているかを抽出することは,今後の賃金制度の変革を議論する場合に極めて重要であると言えるだろう。事例分析の結果,日本のA社,外資系のB社に共通する事実として明らかになった点は,以下の通りである。(1)人事・賃金制度は,職務等級とそれとは独立した等級の2本立てになっている。ただし後者は,A社では職能資格制度であるのに対して,B社においては成果に基づく「実力バンド」であるという点で異なっている。(2)職務給は,シングルレートではなくレンジレートである。(3)月例給部分は,職務と職能,成果の両方を加味して決められる。(4)賞与部分は,職務×業績(即ち個人,組織の業績評価係数)で決められる。(5)1次評価結果が個人の賃金額に反映される過程では相対評価による調整が行われる。
- 慶應義塾大学の論文
- 2001-06-25
著者
関連論文
- 管理職への選抜・育成から見た日本的雇用制度 (特集 日本的雇用システムは変わったか?--受け手と担い手の観点から)
- 何が過剰労働を引き起こすのか--労務管理の現場から (特集・職場環境の変化とメンタルヘルス)
- 多面評価制度の日本企業、 外資系企業比較 : 製造業の事例 (これからの評価制度)
- これからの評価制度 (No.47 これからの評価制度)
- 管理職層におけるホワイトカラーの仕事とその専門性 : 管理職と専門職の比較分析
- 成功する転職とは (「転職新時代」)
- 製薬業における賃金制度の日本企業,外資系企業比較
- 出向・転籍者と中途採用者 : 45歳以上ホワイトカラーの社外からの受け入れ実態
- 配置・昇進・人材育成と管理職の機能
- 中途採用労働市場の現状と今後の動向 : 成長企業を中心にして
- 金融機関における大卒ホワイトカラーの雇用管理の日英比較
- 企業内昇進における「効率」と「動機づけ」 : わが国企業における資格制度の機能について
- ロンドンの日系金融機関における日本人出向者の役割
- 人材獲得競争で勝ち残るために (特集 多様化する人材力獲得戦略)
- 人事制度の国際比較 多国籍企業内労働市場における収斂と差異化
- 個人選択型人事制度とファスト・トラック--企業内労働市場の多様化にどの様に対応するか
- 定年延長と継続雇用制度--60歳以降の雇用延長と人的資源管理 (特集 高年齢者雇用)
- なぜ「名ばかり管理職」が生まれるのか (特集 その裏にある歴史)
- 投資銀行における賃金制度の資本国籍間比較--ロンドンと東京 (2006年労働政策研究会議報告 賃金制度の見直しと賃金政策) -- (賃金制度の国際比較[含 討論])
- イギリスの投資銀行--日系企業と非日系企業における管理職層 (特集 管理職の役割変化と雇用関係)
- 書評 柳田雅明著『イギリスにおける「資格制度」の研究』
- 高齢者雇用を拡大するためには何が必要か (特集 これからの企業人のキャリアと高齢者雇用 : 雇用環境の変化の時代へ)
- 管理職の育成、活用、処遇は如何にあるべきか
- 異なる組織フィールド・同一組織フィールド内の企業間の人事戦略比較(セッション8【研究発表】)