<原著>進行食道癌における神経浸潤からみた化学放射線療法の有用性の検討
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概要
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壁深達度固有筋層以上の進行食道扁平上皮癌切除183例を対象とし,化学放射線療法の有用性を,局所再発の危険因子であり予後不良因子である神経浸潤(NI)の観点から明らかにすることを目的とした.また,このうち32例を対象とし,NIの分子生物学的な特性を明らかにする目的で免疫組織学的なE-カドヘリン,ラミニン,PCNAの発現とNIを含めた病理組織学的因子との関係,さらに生存率について検討した.NI陽性は78例(46.2%)であった.切除標本の検討において術前放射線単独治療群のNI陽性率52.4%に対し術前化学放射線療法群では22.7%と有意に低率であった.再発形式では術前放射線単独治療群の局所再発率15.0%に対し,術前または術後に化学放射線療法を行った群では5.9%と有意差はないものの低率であった.E-カドヘリン,ラミニン,PCNA発現と病理組織学的因子に明らかな関係は認めなかったが,生存率ではラミニン陽性例,陰性例の3年生存率はそれぞれ77.4%,25.9%と陰性例で有意に予後不良であった(p = 0.048).以上のことより,化学放射線療法は放射線単独治療と比較して,局所再発の危険因子であるNIに効果がある.ラミニンは進行食道扁平上皮癌において予後因子となりうる可能性が示唆された.
- 近畿大学の論文
- 2002-12-25
著者
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