<論説>ISO9000 導入と我が国の規格の対応に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本論文は,ISO9000シリーズを中心として,規格の歴史と品質管理の変遷について考察したものである。大量生産時代が始まり,供給者,需要者相互において,品質に対する規格の要求が生じた。この中で,生み出されたのが,製品・部品における,一定の不良品の発生を前提とした統計的品質管理である。その中では,供給者需要者双方が,統計を中心として契約を結ぶ。さらにこの考え方が生産システムに及んだのがISO9000シリーズであると考えらられる。ISO9000は,第三者の認証により,一定の品質を実現可能な生産システムであることを証明する。ISO9000は製品に対する保障でないことが重要である。我が国において生み出されたQC・TQM (TQC)は,生産者の立場から,可能な限りの品質の向上を図る点に,特色がある。本論文において,1) ISO9000の歴史と現状について考察し,ISO9000が,英国を中心として作成され,利用が進んだが,我が国はQCの成功の上に,当初無関心であり国際的な取引において不利益を被ったこと,2)現在においても,ISO9000の認証数は,英国を中心とする欧米が最も多いが,アジア各国も認証数を増やしており,日本,中国,韓国は,同程度のレベルにある,3) ISO9000においては,品質システムを文章化することが要求される。この中では,経営者に,示された品質方針,主な主任者業務,すべてのプロセスが明示される。これは定期的に,サーベイランスされる。4)我が国における国内規格としてはJISがある。また,QC・TQM (TQC)は,独自に生み出された,品質活動であり,極めて成功を収めた。QC・TQMは,PDCAサイクルにより,改善活動を行い,常に品質の向上を目標とする活動体である。これに,対してISO9000は,認証されたシステムを維持するための,静的活動である,5) QC・TQMが,企業内部で行われるのに対し,ISO9000は,品質情報が,外部に開示される,6)我が国におけるISO認証による,利点と問題点について考察した。ISOの認証により,管理システムの,明確化が行われる。さらに企業が,優れた品質保証体制を,確立していることがアピールでき,新規の市場開拓を可能とする。反面,事務量は増加し,維持費用がかかる,の6点が,示された。QC・TQMは,アメリカからもたらされた,統計的品質管理を基に,独自に発展したものである。QC・TQMは,品質向上の活動体として,極めて成功した。今後は,ISO9000の持つ,透明性,標準化の考え方を取り入れることによって,新たな,品質管理システムの構築が可能となるであろう。
- 2001-09-01
著者
関連論文
- 作業姿勢の差異による疲労感に関する研究 : 移動を伴う立位作業の疲労感軽減に対する有効性について
- トヨタ生産方式の開発時代に直面した障害とその克服--大野耐一の記録(5)
- 私の現場経営--大野耐一の記録(4)
- これからの生産の新方向を探る : 大野耐一の記録(2)
- 日々新たなるトヨタ生産方式--大野耐一の記録(3)
- トヨタ生産方式 : 大野耐一の記録(1)
- 自覚疲労からみた作業姿勢への適応過程に関する研究
- 作業姿勢の差異による女性新入社員と経験者の自覚疲労に関する研究
- 歩行を伴う立位作業姿勢の新入高卒女性従業員における自覚疲労の推移に関する研究
- 女性新入社員と経験者の職場意識と疲労感に関する研究
- システムダイナミックスによる都市用水支援システム : ダイナモプログラム
- 縦工程待ち作業システムシミュレータの開発(1985年春季研究発表抄録)
- 自動化と生産・作業の変化 : 工場自動化の研究(第2報)
- 女子作業者の作業速度評価要因の研究
- 生産期間が経営資本回転率に与える影響の定量的解析 : 生産期間に関する研究(第4報)(1984年春季研究発表抄録)
- わが国企業におけるFMSの動向と問題点 : 工場自動化の研究(第1報)(1984年春季研究発表抄録)
- THE HOME DEPOT の成長と日本進出 Growth of the Home DEPOT and Adance to Japan
- 段取り作業の構造と短縮方策
- 生活用水を中心とした都市用水財政モデルとその評価
- ISO9000 導入と我が国の規格の対応に関する研究
- 作業姿勢が取置作業時間に与える影響
- 椅座位作業から立位作業へ変わった女子作業者の自覚疲労の変化
- 作業姿勢が組立作業時間に与える影響
- 女子の立ち作業化が自覚疲労にあたえる影響
- 市場需要ロットの少量化動向と生産システムの対応
- 椅子座位作業姿勢を主とする新入高卒女性従業員における自覚疲労の推移に関する研究
- 新入女性従業員と経験者の職場意識と生きがいに関する研究
- 椅子座位作業条件のK社における女性新入従業員と経験者の職場意識と生きがいに関する研究
- 多工程持ち作業条件のJ社における新入社員と経験者の生きがいに関する研究
- 立ち作業条件のT社の女性従業員における新入社員と経験者の「生きがい」意識と構成要因に関する研究
- システムダイナミックスによる都市用水支援システム : 水経済モデル
- 多工程持ちシステムとセル生産方式、流れ作業の比較
- 新入社員の自覚疲労に関する研究(第1報)立位作業姿勢を主とする新入高卒女性従業員における自覚疲労の推移
- 生産期間短縮の必要性と短縮方策に関する研究 : 1960 年代から 70 年代を中心に
- 生産管理システムの設計方策と生産期間
- 工程構造から見た生産期間に関する研究
- 作業姿勢が作業者に与える身体的影響
- NPS の研究
- 生産期間の定義に関する研究
- 多工程持ちシステムの構造と効果
- 経営資本回転率に影響を与える要因の定量的分析
- シミュレ-タを用いた縦工程持ち作業システムの効果把握
- いわゆるセル生産方式という呼称の誤謬と多工程持ち : 資料編
- 生産期間からみた企業経営の分析