病院給食従事者の衛生に関する細菌学的考察
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概要
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病院及び特別養護老人ホームの給食施設に勤務する給食従事者の細菌保持状況を把握する目的で, 2年間にわたり, 5病院, 2施設の給食従事者延べ99名を対象に, 手指の一般生菌数, 大腸菌群, 黄色ブドウ球菌の検査を実施した.更に黄色ブドウ球菌については, 鼻前庭, 咽頭部の検査も併せて実施した.尚, 分離した大腸菌群については, 糞便由来によるものか否かの判定を行った.その結果, 手指において一般生菌数が10万個以上検出された者は, 40.4%(40/99人)あった.大腸菌群検出率は30.3%(30/99人)で, その内, 糞便由来と判定されたものが26.7%(8/30人)であり, 用便後の手洗い方法及び手洗い施設などに問題があることが示唆された.また黄色ブドウ球菌の検出率は, 手指15.2%(15/99人), 鼻前庭21.2%(21/99人), 咽頭部39.4%(39/99人)であり, 一般健康人の検出率と比較して, 手指, 鼻前庭, 咽頭部とも病院給食従事者が高く, 特に手指に関しては著しく, 5倍以上の検出率であった.病院給食従事者のように, 水や洗剤などに常にさらされる機会の多い職業にある者は, 手荒れなどを誘発し易く, その結果として黄色ブドウ球菌が付着, 定着し易くなるものと考えられる.給食対象者が一般健康人と異なり, 主に病弱者や抵抗力の低下した入院患者であることを考えると, 手指の衛生を含め, 給食従事者個人の基本的な衛生管理が, 食中毒予防上重要であることが痛感された.
- 名古屋文理大学短期大学部の論文
- 1995-04-01
著者
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