ピアノ演奏の基礎フォーム : 手・指の練習
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概要
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打鍵楽器であるピアノは,どんな方法で鍵を打っても必ず音は出る.しかし,打鍵の方法が悪いと美しい音色,音質は得られない.むしろ,美しい音とは縁の遠い騒音として,音楽する意義を半減させてしまう.美しい音が出せる出せないは,大げさな言い方をするならば,手指の確立,腕の脱力など様々なテクニックの如何にかかっている.従って,ピアノを習う場合テクニックの習得,手指のトレーニングは不可欠のものであり,最も重視されねばならない.ピアノをひく者ならだれでもが,「より音楽的に美しい音で満足のいく演奏をしたい」と願うであろう.美しい音色や音質,それは一寸したタッチの変化から生まれてくる.タッチ=演奏技術=をどのような方法で習得させていったらよいのか.重要な課題とされつつも,その指導はとかく市販されている教則本に基いて行われがちであるが,学習者の多くは,この教則本に頼った,画一的で機械的な指練習を嫌い楽しい小曲をひきたがる傾向にある.ピアノ練習で最も大切な指練習が学習の挫折原因という例も少なくない.音を作り出す,打鍵のためには,我々が持つ手指の筋肉の動きが必要である.一言で手と呼んでいるが,鍵盤操作を行うのに一番直接的に関与する部所は,手掌の一部「指先」であり,この指先を動かすためには,腕全体の機能が伴はなくてはならない.そこで,手に関する機能発達や各指の特徴をふまえ,技能習得につながる指訓練の一方法を思索し実践してみた.指あそび思索の趣旨は,短期間で効果が現れ楽しく練習出来るということにある.なお,手指のあそびと併用させ,御木本澄子女史が考案されたフインガートレーニソグ・ボードの使用も試みた.使用効果は,かなり好ましいものであったように思う.今回行ってきた手指のあそびは学習の一旦である.系統的に与え,それが演奏の上に活されるよう常に配慮せねばならない.ボードの使用と併せて,この点のプログラムを更に検討し効果が上がるようにしていきたい.
- 名古屋女子大学の論文
- 1989-03-10
著者
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