茶白紋羽病に関する研究(第 4 報) : 茶白紋羽病菌培養濾液の毒性について
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概要
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茶白紋羽病菌の培養濾液の毒性について, 前報に引続いて培養条件, 培養濾液の稀釈, 加熱, 水素イオン濃度及び滲透圧等が濾液毒性に及ぼす影響並びに各種作物の種子に対する毒性の差異を調査した。1. 異種の培地上菌体重と濾液の毒性とは直接の関連を示さないが, 同一培地上では菌体重の大なる培養から得られた濾液ほどその毒性が高い。そしてこの毒性は自己消化によつて生産される物質に基因するものではなく, 代謝産物に基くものと考えられる。2. 濾液の滲透圧はその毒性と直接の関係はない。3. Thiamine培地上50日間培養から得られた濾液の毒性を水稲種子の発根生長によつて検定したが, 濾液を15封度圧10分間加熱区及び細菌滬過管による滬過区に分つたものでは, 両者共1/32稀釈まで毒性指数60以上を示し, 毒性物質は熱に対し安定と考えられる。4. 甘藍, 大根, 小麦, 〓麦及びライ麦に対しても水稲の場合と同様に根の伸長を阻害するが, 芽の生長に対しては滬液濃度が高い場合に毒性を示す。これらの作物の中, 甘藍の発根に対する阻害度が最も低いことから, 甘藍は白紋羽病に対し抵抗性の高い作物ではないかと考えられるが尚検討を要する。5. 水稲種子に対する培養滬液の毒性はpH5∿7では差異を認めないが, そらまめ苗に対しては強アルカリ性では毒性物質は稍不安定で, 酸性では安定なものと推定された。併しながら酸性又はアルカリ条件で24時間保存した培養滬液を用いての水稲種子によるその後の実験の結果では毒性物質は反応を変えることによつて特別の影響を受けないものと考えることが出来る。
- 京都府立大学の論文
- 1956-09-01
著者
-
河野 又四
京府大農
-
安部 卓爾
近畿大農
-
安部 卓爾
Phytopathological Laboratory, Saikyo University
-
河野 又四
Phytopathological Laboratory, Saikyo University
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