ダイズの無限伸育性の育種学的意義 : 第 11 報 裂莢と茎, さや, 種子の水分含量についての品種間差異(園芸農学)
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概要
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1964,1965両年度に, 兵庫県篠山町で, 有限, 無限伸育性品種計3∿4を用いて, 圃場, 硝子室, 室内の各種条件下での裂莢, とくに茎, さや, 種子の水分含量との関係で調査研究した。その結果, 品種の裂莢性を考えるためには, 種子の水分がもっとも重要な指標となり得ること, 機械栽培に適する品種としては, 圃場で種子水分を15%まで, 裂莢なしにさげることができ, そのまま脱殻, 収納できることが望ましいことを結論とした。硝子室や室内では裂莢なしにかなり種子水分を下げることができ, とくに室内で陰乾した場合は供試品種のいずれも裂莢なしに種子水分を11∿12%まで下げることができた。圃場, 硝子室, 室内の裂莢と品種との関係は一様でなく, 年次によっても異った。それ故ダイズの裂莢は, 栽培地域, 収穫期に対する生態的適応形質と考えなければならない。従って, とくに多雨で空気湿度の高い日本では, 気象条件の影響を受けない室内での裂莢の検定は, 圃場の結果とは一致しないことがあり, 実際的にはその点を充分考慮する必要があろう。裂莢の現象は, 莢の組織の内外層の水分の差によっておこる物理的な乾湿運動の1種である。しかし, ダイズの裂莢の発生機構はかなり複雑であり, 外層の水分が, 雨露の影響で比較的多い場合には, 種子の水分がかなり多い中に裂莢をおこすものと考えられる。1個体内のさやを熟期の早晩によって分けて, 裂莢の発生を調べた結果, 有限, 無限伸育性は, 現在の栽培品種については裂莢にあまり関係がないものと思われた。
- 神戸大学の論文
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