ダイズの無限伸育性の育種学的意義 (第10報) : 有限,小粒の北海道および九州産ダイズ品種の結実過程の差異
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概要
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著者がさきに区別したダイズ品種の主要な生態型の中, 南日本生態型と北日本生態型の生理生態的差異を明らかにするために, とくにいずれも小粒の十勝長葉, 石狩白1号(北海道)と白莢1号(九州)の結実過程とそれに及ぼす日長の影響を検討した。その結果, 上記北海道産品種の関係生育日数(生育日数/開花までの日数)の長いこと, すなわち結実日数の長いことは, 子葉, 幼根, 初生葉の発達した後の期間が長いことによるものであるが, これは必らずしも種子の肥大すなわち大粒生産に必要なものではないことが明らかになった。さらに日長は, 開花までの日数よりも開花後の成熟までの結実日数に対し, より影響が少なく, 基本的な結実日数の長短が, これら3品種の自然日長下の結実日数の差異をなすものであることが明らかになった。従って, 著者がさきに報告した大粒の北海道産ダイズ品種(大谷地2号)とこの報告の小粒の2品種は, 結実日数の長いことは同じであるが, 結実過程と日長に対する感応についていく分の差がある。北日本生態型の品種の多様性を示すものであり, 今後これらの品種の農業的適応, 育種的利用上, これらの差異を検討すべきであることを考察した。
- 神戸大学の論文
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