ダイズの無限伸育性の育種学的意義 (第9報) : 花芽分化後の増加節数の品種間差異と遺伝性に基づく伸育性程度の判別
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概要
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有限, 無限伸育性の区別, ならびにその程度の判定に資するために, 1944,1957,1958年度る調査結果より, 花芽分化後の増加節数(主茎節数-第1着花節位)の品種間差異と遺伝力を検討した。花芽分化後の増加節数は最少2より最多16までの間に品種間差異がみられた。第1着花節後の著しく低いもの(開花期極早), 著しく高いもの(開花期極晩)を除くと, 有限, 無限品種群はそれぞれモードを異にする2つの群に分れるが, 中間のものは必らずしもはっきりと区別されない。1957年と1958年度の相関と回帰による遺伝力の検討の結果, 花芽分化後の増加節数は全体としては明らかに遺伝的形質であるが, 有限品種群内では遺伝性はやや明らかでなく, 無限品種群内では遺伝的な形質であると考えられるが, 遺伝力は全品種群より低い。1957年度の自然日長下と短日条件下の花芽分化後の増加節数は全体としては, 有意な相関があり, 遺伝力も若干認められたが, 有限, 無限品種群内では有意な相関が認められず, 得られた係数値は負であり, 遺伝力も一の値を示した。従って, 有限, 無限品種群内の花芽分化後の増加節数は, 日長に対する感応によって影響されるものと思われる。従って, 花芽分化後の増加節数の品種間差異は, 有限, 無限品種群間ではあきらかに遺伝的な差があり, 無限品種群内でも, 遺伝的な差があると考えられる。有限品種群内ではあきらかな差を認めがたいが, 全く品種間差異がないとはいえない。よって, 有限, 無限伸育性品種の区別に資するために, 花芽分化後の増加節数より0∿VIIの程度を区別し, 0∿IIは有限, III∿VIIを無限とすることを提案した。
- 神戸大学の論文
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