クリ樹の耐凍性に関する研究 (VII) : 耐凍性の減少と温度との関係
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概要
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クリの耐凍性の減少機構を明らかにするため, 冬より春にかけての気温と枝の耐凍性の季節的変化を調べた。また12月と3日にいろいろな温度で枝を処理して耐凍性の変動を調査した。1. 気温の季節的変化にともない, 芽および樹皮の耐凍性は3月中旬より急速に減少するのが認められた。2. 樹温は冬季でも昼間に日光の直射により, 30℃近い高温になることが認められた。3. 耐凍性のある枝を, 5°∿15℃で24日間処理した場合, 12月処理ではほとんど影響がなく, 3月処理では数日後よりしだいに減少した。20°, 25℃処理では12月, 3月処理ともに耐凍性が速かに減少したが, 3月処理のほうがその程度が著しかった。4. 春の耐凍性の減少過程において, 夜間の低温は芽の生長や樹皮の耐凍性の減少を著しく遅らせるのに有効であった。しかし毎日数時間, 20℃以上の高温におくと, 残りの時間を氷点下に保っても耐凍性を持続させることは困難であった。以上の結果から, クリの耐凍性は3月以後5°∿15℃の温度が数日以上続いた場合や夜間が氷点下でも昼間20℃以上の高温が1日数時間続くことによって, 耐凍性が減少し, このことが暖地において, 早春に凍害を受ける原因であることを明らかにした。
- 神戸大学の論文
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