わが国の小児における歯科疾患の現状

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わが国の小児における歯科疾患の現状について, 著者の教室の疫学的研究を中心に, 最近報告された疫学調査の成績をもとに分析した。齲蝕は, 乳歯, 永久歯ともに低年齢層で減少傾向を示し, 齲蝕の軽症化も進んでいる。しかし, 乳歯齲蝕に関しては, 1970年代に著しい減少があった後は, 横ばい状態かわずかな減少にとどまっている。第2乳臼歯では咬合面齲蝕と近心隣接面齲蝕が増加傾向にあり, 乳歯の小窩裂溝と隣接面は齲蝕予防の面で未だ解決されていない問題の部位と言える。歯周疾患については, わが国の小児の歯肉有所見者率が幼児から増齢とともに着実に増加し, 歯石沈着を有する者の率も6歳頃から増加しており, 両有病者率はともに決して低い値ではない。幼児の歯肉炎は非常に軽度ではあるが, 上顎前歯部ばかりではなく臼歯部にも認められ, 歯垢の蓄積が多い最後方歯の頬側や舌側に発現しやすい。不正咬合については, 乳歯列期では開咬と切端咬合がやや多かった。その年次推移では, 開咬が3歳児, 4歳児でわずかに増加の傾向を示し, 切端咬合は5歳児で1970年代後半より増加している。開咬の増加については, 吸指癖の発現率の増加と関連があるようだ。顎関節症は小学生での発現が報告されており, 増齢とともに次第に増加する傾向がある。異常の徴候は, 小学生ではほとんどが関節雑音で, 疼痛と開口障害は稀であるが, 中学, 高校生では関節雑音に伴って疼痛および開口障害が発現してくる。

わが国の小児における歯科疾患の現状

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