蓼科山北麓に見られる冬期山岳部高温状態に関する基礎的研究
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概要
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長野県中部の八ヶ岳山腹(標高1720m)における1991~1995年の5年間の冬期(1~3月)気温観測結果を元に,平地部(標高715m)との気温差を調べた。平均的には各年ともO.45~O.51℃/100mの気温減率で山腹の方が気温が低かったが,気温減率0.4~0.6℃/100mの範囲内にある事例は,全観測時間の2割に過ぎなかった。山腹が平地部より気温が高い状態を山岳部高温状態と定義し発生頻度を見ると,各年とも200時間前後となり,これは,全時間の約1割に相当する。山岳部高温状態発生に至る気温変化をパターン化し,各パターンの頻度を調べてみると,山腹が昇温して発生に至った事例が各年とも過半数を占めた。このことから,事例地における山岳部高温状態は,接地逆転によって形成されたものだけではなく,沈降性逆転および前線性逆転が多いことが示唆される。山岳域は平地と比べ一定比率で気温が低減しているという認識にとどまらず,より詳細に各地の山岳域の気温特性について検討する必要がある。山岳部高温状態の発生下で,土石流が発生した事例も確認されており,この現象の検討は,防災上の意義も高まりつつある。
- 信州大学の論文
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