<原著>幼児及び老年者の転倒の研究 : 学生の実体験を重視した教育研究

概要

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幼児と老年者の転倒について調査を中心とした研究を行った。前者は,上昇的・進歩的変化の過程にある幼児,後者は,下降的・衰退的変化の段階にある。老年者と転倒の機序は全く異なるが,各々に重大な問題を包含している。そこでわれわれは,次の研究計画をたてた。(1) 研究期間は3年間,1年目は家庭や幼稚園・保育園・老人保健施設等での転倒や運動環境のアンケートの実施。(2) 2年目はコンピュータを用いた運動能力や歩行状態の解析,実験的研究により転倒の機序の解明分析検討。(3) 3年目は,転倒に関する予防法を見いだし最終報告とする。なお,今回実施した実験の一例をあげると,運動能力(とびこしくぐり,反復横飛び,20m走)の測定である。これを国際比較対象群としてハワイの幼児についても実施すべく進行中である。さらに,これらの予備調査として一般人に対してもアンケート調査を実施した。上記研究計画達成のために,次の先進的研究機関で資料の収集も行った。(1) 鹿屋体育大学では,老年者の身体活動量の評価方法や実施時の留意点についての資料提供を受けた。(2) 大阪大学人間科学部人類学教室では,歩行様態のコンピュータ画像解析に関する資料提供を受けた。(3) 金沢大学生涯スポーツ学教室では,静的バランス能力や瞬発的筋力測定についての示唆を受けた。(4) 旭川大学助教授から厳冬期の小動物の生態についての示唆も受けた。また,老年者の転倒予防についての実態調査を次の施設で行った。(5) 旭川市内の盲人のための老人保健施設で盲人積雪時の歩行様態や靴の滑り止め等について貴重な示唆を得た。(6) 金沢市内の地域デイサービス施設においては,施設内の転倒予防の実態を観察し,その設備の有効性について施設関係者からの聞き取り調査を行った。なお,この研究の特色の一つとしては,学生の実体験を重視した教育研究という側面をもっている。すなわち,アンケート調査の実施,集計そして解析に学生を参加させ,大学生として科学的探究心を養うという機会・経験を学生に与えることも本研究の目的とするところである。本報告は上記の一部であり,短期大学幼児教育科の学生に対して行ったアンケート調査結果の考察である。
2000-03-15

<原著>幼児及び老年者の転倒の研究 : 学生の実体験を重視した教育研究

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