<原著>幼児の歌における音楽的傾向と学生の意識についての研究

概要

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本研究所は先にわれわれが行ってきた研究の延長線上に生じた課題の研究である。それは,幼稚園・保育所でとり入れている歌30曲や学生の好きな歌などを中心にして検討をすすめていくと,(1)調,(2)音域,(3)歌のはじめの音,(4)拍子,(5)リズムの5点についての分析が必要になってきた。そこでその分折を試みたのであるが,その結果,(1)幼児教育の中にとり入られている曲は,幼児の声域にあっていて,幼児教育者がピアノ伴奏をしやすい,「八長調」「二長調」の歌が多く,学生の好嫌からみてもほぼ一致していること。(2)音域についてはオークターブ(8度)内の音を使用しているのが最も多く,また全体の曲の中で最も高い音は「二」で最も低い音は「イ」と全体的傾向として音域が低くなっていること。(3)歌のはじめの音は「ト」と「イ」に続いて「ハ」と「ニ」の順になっていること。(4)拍子は幼児の感覚による身体的表現可能な曲と楽器の使い方が指摘できること,(5)リズムでは全て同じリズムパターンのものもあるが,歌になるとメロディー・テンポ・曲想によって異なる。以上の様な方向性が顕著となった。
1995-04-01