社会科学習における"基礎・基本"の意義とそのはたらきに関する考察 -小学校第4学年社会科授業単元「橿原バイパスと京奈和自動車道」の分析を通して-
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概要
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平成元年の学習指導要領の改訂にともない, "新しい学力観"が提起されている。これは言うなれば,"学力観の転換"と言えるものである。さて, この"新しい学力観"ないしは"学力観の転換"の内実を見てみると, それは,「知識・理解・技能」などのような要素を重視する学力観から「関心・意欲・態度」などのような要素を重視する"学力観"への転回であると言うことができる。この学力観の転回にともなって, 今再び社会科学習における"基礎・基本"とはいかなるものであるのかが問われようとしている。本稿は, 社会科学習における"基礎・基本"とは, その子どもの生活に根ざし, 子どもの論理を支えるものとして機能し,さらには,その子どものその後の学習にとって重要なはたらきをなすものであるという見地から, 社会科学習における"基礎・基本"の概念を検討し,さらに, それがその後の子どもの社会認識の獲得にとって果たす意義を明らかにしようとするものである。このことについて本稿では, 小学校第4学年社会科単元『橿原バイパスと京奈和自動車道』1)の実践を取り上げ, "基礎・基本"に関わる問題を具体的に考察することを試みている。本稿はまず第一に, 対立概念としての"問題解決学習"と"基礎・基本"の関係の再検討を経た上で, 問題解決学習によって獲得されることが可能であるところの"基礎・基本"がいかなる位置付けにあるものであるかを明らかにし, 第二に,学習活動としての"直接的経験"(あるいは"生活")が,"基礎・基本"の獲得において果たす役割とその課題について検討することを通して上記の目的にアプローチするものである。A new outlook on scholastic attainmellts attracts attention in Japan now. It is an outlook on scholastic attainments by which the element such as "Concern, desire, and attitude" is valued. It is a problem what "Basic knowledge" of the social studies study is now because of the advocacy of anew outlook on scholastic attainments. I understand "Basic knowledge" in the social studies study as follows. 1. "Basic knowledge" deeply affects the life of the child and supports child'slogic. 2. "Basic knowledge" is an important base of the study of the child after that. I leave for such viewpoints and am working on the theme. I examine the relation between "Problem solving study" as the confrontation concept and "Basic knowledge" the first in this manuscript. And, the location of "Basic knowledge" approved by “Problem solving study" is clarified. Secondarily, I consider the role and the problem which "Immediate experience" accomplishes when "Basic knowledge" is formed. In this manuscript, I take up the practice of unit class of socia studies of the fourth elementary school year "Kashihara by-pass and KEINAWA car road". I can consider the problem which affects "Basic knowledge" by that concretely.
- 大阪教育大学の論文
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