<原著>肺癌細胞におけるSulfonylurea receptor 2遺伝子の発現誘導とアドリアマイシン耐性

概要

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P-糖蛋白やMRP (multidrug resistance-associated protein)などのABC(ATP binding cassette)蛋白は,種々の抗癌剤の薬剤耐性に関与しており,抗癌化学療法において大きな問題の一つである.ABC蛋白の一種であり,K^+イオンの輸送に関与するSUR(sulfonylurea receptor) 1, 2が抗癌剤の薬剤耐性に関与している可能性を考え,癌細胞株(PC-14, SBC-3, A-549, MCF-7, K562)に各種抗癌剤(adriamycin, cisplatin, CPT-11, SN-38, taxol, Vp-16)を暴露し,これら抗癌剤によるSUR1, 2のmRNA発現誘導をreal time RT一PCR 定量法を用いて検索した.その結果, adriamycinを暴露した肺癌細胞株については,濃度・時間依存的に有意な発現誘導を認めた.さらに, adriamycinの薬剤耐性との関連性を明らかにするために, SBC-3, MCF-7, K562とそれぞれのadriamycin耐性株においてSUR2のmRNA発現量を比較した.その結果, SBC-3, MCF-7のadriamycin耐性株において親株と比較してSUR2の有意な過剰発現を確認した.これらの結果より,SUR2がadriamycinに対する耐性に関与している可能性が示唆された.
2002-10-25