カエル心房筋の膜電位および収縮に対するニトログリコールの効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
(1)カエル心房筋に対するニトログリコールの作用を,二重蔗糖隔絶法を用い膜電位および収縮張力を記録して検討した。(2) ニトログリコールは血管拡張作用ばかりでなく,心筋に対しても直接作用することが確かめられた。すなわち4×10^<-8>Mですでに陰性の変力効果を示し,濃度を増すに従って濃度依存性に抑制は強まり,4×10<-2>Mで収縮は完全に消失した。(3) この陰性の変力効果は,濃度によりその作用が異なり,低濃度ではIca-非依存性の張力のみを抑制するが,高濃度になるとIca-依存性張力をも抑制した。(4) その場合,Ica-非依存性張力の抑制がまず起り,少し遅れてIca-依存性張力の抑制がみられた。正常Ringer液で洗浄した場合は,この逆の順序で回復した。(5) 3分間刺激を停止した後のrested state contractionは,ニトログリコール投与により,Steady contractionになるまでの時間が非常に延長された。(6) caffeine contractureは,ニトログリコールが存在すれば,Caffeineを除去しても弛緩は起らなかった。(7) この時ニトログリコールを溶液から除くと,Contractureは直ちに消失した。(8) 以上のことから,ニトログリコールは心筋に対しては,細胞膜のCa-pumpの促進と共に,SRのCa uptake抑制にも重要な働きをしており,非常に高濃度では更に細胞膜イオンチャンネルにも作用するのではないかと思われる。
- 九州大学の論文
- 1989-03-03
著者
-
小島 夫美子
九州大学医学部保健学科
-
小島 夫美子
九州大学医学部保健学科 検査技術科学専攻:大阪大学大学院医学系研究科 医療技術科学 生体情報科学専攻
-
小島 夫美子
九州大学 医技短大
-
安部 良治
九州大学医療技術短期大学部看護学科
関連論文
- 入浴中の循環動態の変化に関する基礎的研究 : 高齢者を対象に
- 安全な入浴方法開発のための基礎的研究
- カエル心房筋の膜電位および収縮に対するニトログリコールの効果
- 医療系大学及び大学院に対する高校生の意識に関する研究
- 眼脂から分離された肺炎球菌のペニシリン感受性について
- 墨汁染色変法による細菌莢膜の識別法の開発
- スライド凝集法および免疫ドットブロット法による肺炎球菌莢膜型別の試み
- 細菌DNA分離におけるビーズ法の応用
- リアルタイムPCRの臨床微生物学領域での応用
- リアルタイムPCR : その原理と特徴
- リアルタイムPCRによる黄色ブドウ球菌表皮剥脱毒素遺伝子の検出
- 黄色ブドウ球菌の表皮剥奪毒素遺伝子, 毒素性ショック症候群毒素遺伝子, メチシリン耐性遺伝子のmultiplex PCRによる迅速検出
- multiplex PCRによる黄色ブドウ球菌エンテロトキシン遺伝子の検出
- 健康な大学生における黄色ブドウ球菌の鼻腔内保菌状況とそのコアグラーゼ遺伝子型別
- Random Amplified Polymorphic DNA (RAPD)解析による黄色ブドウ球菌ゲノムタイピング