<総説>バイオセラミックス

概要

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リン酸カルシウム化合物は安全性に富みここ20年来,歯科および医科領域において生体材料として用いられてきている.実際の応用いおいては合成後の粉末状体では臨床価値も乏しく,また,飛散化した結晶,もしくは微細化した粉末は,炎症所見の一つである.マクロファージにより貧喰されることが知られている.これらを回避するするために種々の方法でリン酸カルシウム化合物の微結晶の飛散化を防止している.その方法の一つとして高温加熱して各微結晶を融合(焼結)する方法が利用されている.当然ながら,焼結に用いられるリン酸カルシウムは最低でも1000℃程度の温度で安定であることが望まれ,水酸化アパタイト,β-リン酸三カルシウム,およびこれら2相の混合体が焼結材料として用いられ,顆粒,緻密体および多孔体のものが作製されている.また,種々のリン酸カルシウム化合物の混合体がセメントとして利用され,なかには,水および希薄リン酸水溶液で緩和するとアパタイトを形成しながら硬化するものがある.コラーゲン繊維上の骨様アパタイトを化学沈着して作製したアパタイト-コラーゲン複合体も上述の問題点を回避するもので,個々の微結晶はコラーゲン線維にかなりの強度で固着し,ピンセットもしくは指圧程度による変形では決して脱離しない.血液による湿潤も良好で,崩壊することもなく,骨欠損部にも容易に填入できるなどの利点を有し,骨補填材として有用である.本総説ではこれらリン酸カルシウム基材の合成法,物理化学的性状などの材料的な側面を解説し,臨床応用への可能性については主に著者らの結果に基づき解説することとした.
朝日大学の論文
2002-02-20

著者

土井豊
朝日大学歯学部口腔機能修復学講座歯科理工学分野

<総説>バイオセラミックス

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