大学生の調理実習における学びに関する研究(第1報) : 目標を設定することについて
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
調理実習における目標の設定について, 次のような点が明らかになった。1)分析対象の大学生は, 自宅生の食事作りの参加度は, 夕食づくりに気がむいたときに参加する程度で食事後, 食卓の食器を台所まで持っていく作業に92.0%, 材料の加熱, 食卓の準備に72.0%と補助的な作業を行っている。しかし, 調理実習における設定目標から, 個人的な目標が, 具体的な目標を多くあげることができる集団であることが明らかとなり, これより, 調理実習において課題意識をもち, 主体的に行動し, 知識や技術を獲得することが可能な集団だといえる。2) 8つの設定目標を個人的か協力的か, 具体的か包括的かという視点で分類した場合, 個人的目標数と具体的目標数及び協力的目標数と包括的目標数の間には比較的強い相関があることが明らかになった。また, 協力的目標より個人的目標を多くあげており, 有意差がみとめられた。(t=15.48,df=44,p<0.01) 3)目標や反省を行うことの有用性について, 92.0%の学生が有用であったと答え, その理由は, 「次回に生かすことができる」30.3%, 「調理実習中, 意識的に行動することができる」27.3%, 「調理実習を振り返る」18.2%, 「目標がやりがいとなる」12.1%であった。以上まとめると, 教師は, 個々の学生の学びを援助するために, 課題意識のレベルを確認しつつ, 具体的目標と包括的目標, 個人的目標と協力的目標という多様な目標を持たせるような工夫が必要と思われる。また, 協力的目標より個人的目標の方が設定しやすいという今回の結果より, 協力的目標を設定する方向への配慮も必要であろう。第2報では, 調理実習での作業の実態と認識から学習者個々の学びを明らかにし, さらに教師としての援助の方向を探りたい。
- 長崎大学の論文
著者
関連論文
- 小学校家庭科における問題解決的な学習を取り入れた調理実習授業の開発 : 自分の成長と変容を実感させる指導方法の検討
- 家庭科における食情報に関する学習内容と指導方法の検討(III) : 家族への伝言をイメージする授業
- 中学校「技術・家庭」家庭分野における着装学習の指導方法に関する研究 : 衣生活の自己・他者分析を通した評価活動の検討
- 家庭科教育における「布を用いた製作」の教育的意義の検討 : 体験としての意義と基礎的・基本的技能習得との関係を中心に
- 日本, 韓国における大学生の食生活状況の比較
- PF069 布を用いた小物製作の設計における思考プロセスの分析
- 中学校「技術・家庭」家庭分野における着装学習の指導方法に関する研究 : 「パーソナルカラー」探しを通した評価活動の検討
- 生徒の食生活実態からみた中学校における食育活動の影響
- 中学生のレジリエンスと食生活状況との関連
- 家庭科教育実習における受け入れ校担当者の意識
- 「児童・生徒の衣食住に関する意思決定」調査報告書への家庭科リーダーの意見(第2報) : 「触発意見」の分析
- 「児童・生徒の衣食住に関する意思決定」調査報告書への家庭科リーダーの意見(第1報) : インタビュー調査による意見分析
- 児童・生徒の家庭生活における意思決定の背景(第3報) : 住まうことについての意識の分析
- 児童・生徒の家庭生活における意思決定の背景(第2報) : 昼食準備場面に着目して
- 児童・生徒の家庭生活における意思決定の背景(第1報) : 被服購入にかかわる意識
- 児童・生徒の休日の昼食摂取実態からみた家庭科授業改善(有田嘉伸教授退職記念)
- 大学生の調理実習における学びに関する研究(第4報) : 班員の性格特性が調理作業に及ぼす影響
- 大学生の調理実習における学びに関する研究(第3報) : 目標設定および作業行為と性格特性との関係
- 大学生の調理実習における学びに関する研究(第2報) : 調理作業の実態と認識
- 大学生の調理実習における学びに関する研究(第1報) : 目標を設定することについて
- 幼児靴に関する消費科学的研究 : 歩き始めの子供の着用時の歩容とはかせやすさからみた市販靴の評価
- 家庭科衣生活領域における被服製作の取り扱いの現状と展望(第2報) : 高等学校普通科の実態の考察
- 被服の着用感と温湿度の関係について : 運動着を対象として
- 家庭科教員養成における衣生活技能の指導法に関する研究 : 改良指貫使用時の学習効果
- ジーンズの快適性に関する研究(第1報)現状調査
- アパレル企業の求める人材の調査
- 運針熟練・未熟練者の指貫使用に伴う作業効率及び生理反応の比較 : 心臓血管・呼吸活動および脳波活動を指標にして
- 幼児期から学童期における子どもの食生活に関する研究 : 箸の持ち方指導を通して
- 高等学校家庭科における自己の生活課題を追求する生活設計の授業開発
- 高等学校家庭科における学習者の家事労働に関する認識の変容 : 「自分と家族との関わり」を意識づける授業をとおして
- 中学校「技術・家庭」家庭分野における甚平製作を通して考える衣生活文化の題材開発
- 被服製作実習における授業プロンプトの有効性の検討 : 浴衣製作実習における学生の記述分析を通して
- 和服の文様,色彩の好み傾向について(第2報) : 成人女子用浴衣について
- 家庭科における「学び」を成立させる授業と指導方法に関する研究:授業の立案および分析を通して(平成11年度修士論文要旨)
- 高等学校「家庭一般」における調理実習題材に関する一考察
- 高等学校「家庭一般」の内容分析--13冊の教科書比較から
- 縫製作業に関連した基本的能力および特性に関する研究 : 被服関心度の試験的測定および手指先の基本的能力との関連について
- パターンメーキング教育におけるCAD利用の実態と効果に関する一考察 : CADの教育に及ぼす効果と学生の適性等との関連
- 服作り教育の周辺--アパレル技術者に要求される人材の育成について
- 広島県の家庭科研究会(研究会紹介 第14回)
- 二次元イメージ拡散法による「家庭生活」領域の学習効果(第2報) : 住空間を媒体とした生徒と家族員との相互理解による自己認識
- 二次元イメージ拡散法による「家庭生活」領域の学習効果(第1報) : 自己の住空間認識
- 女子大学生の被服整理に関する行動と生活的自立のための教育的課題
- 二次元イメ-ジ拡散法を利用した授業の試み : 小学校家庭科題材「健康と衣服」の場合
- 環境に関する教育学部学生の意識と行動についての調査研究
- 被服製作基礎技能に対する学生の自己評価と被服実習授業の検討 (佐伯重幸教授退官記念)
- 家庭科教育「夏期フォ-ラム」の企画と実施を通した実践的能力育成に関する研究 : 長崎大学教育学部教育実践研究指導センタ-を利用して
- 家庭科授業における体験と教具の有効性の検討 : 洗剤使用について考える3つの授業の比較
- 高等学校における学校制服のコミュニケーション媒体としての展望(第 1 報) : 長崎市の女子高校生を対象とした実態調査を通して
- 幼児期から学童期における子どもの食生活に関する実態把握 : 箸の持ち方調査を通して
- H16年度「学部と附属学校園の共同研究」プロジェクト : 研究主題A [4附属学校園の一環教育の研究] 「家庭科」 共同研究の成果
- 幼児期から学童期における子どもの食生活に関する研究
- 我が国の義務教育における『ものづくり教育』に対する学習者の意識(第2報)中学校3年生の意識調査の分析
- 我が国の義務教育における『ものづくり教育』に対する学習者の意識(第1報)小学校6年生の意識調査の分析
- 小学校家庭科における知的活動の基盤づくりと生活への感性を育む言語活動の検討 (今日的な教育課題)
- 幼児ふれあい体験学習における積極的対児行動を促す指導方法に関する研究(1) (今日的な教育課題)
- 家庭科教育における「布を用いた製作」に関する一考察 : フィンランドの「クラフト科」教育との比較から
- 幼児期から学童期における子どもたちの食生活に関する研究 : 箸の持ち方指導の継続と新たな展開を求めて
- 家庭科の基礎・基本の見直し:食生活に関わる「できない」「知らない」事例に対する解釈を通して
- 高等学校「家庭一般」の内容分析--13冊の教科書比較から