<原著>胃粘膜上皮細胞のtrefoil factor family発現に及ぼすindomethacinの影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Trefoil factor family(TFF)に属するペプチド(TFF1,TFF2,TFF3)は,消化管粘膜の健常性維持,傷害修復過程に重要な役割を果たしているが,その発現調節については不明の部分が多い。本研究では,胃癌由来細胞株であるMKN45細胞を用いて,胃粘膜傷害の起因因子であるNSAIDsのTFF発現に対する影響をリアルタイム定量的RT-PCR法で解析した。MKN45細胞では,TFF1の発現レベルが最も高く,次いでTFF2であり,TFF3の発現レベルは非常に低かった。IndomethacinはTFF1,TFF3の発現に対しては有意な影響を与えず,TFF2の発現は濃度依存性に上昇させた。IndomethacinによるTFF2発現誘導は他の胃癌由来細胞株(AGS,JR)でも認められ,また,他のNSAIDs (aspirin,NS-398)もMKN45細胞においてTFF2発現を上昇させた。このindomethacinの効果は外来性のPGE2の投与では拮抗されなかった。以上の結果から,NSAIDsはそのCOX抑制作用とは別の機構を介して胃粘膜上皮細胞のTFF2発現を誘導していることが示唆された。NSAIDsの投与によるTFF2発現レベルの上昇は,NSAIDs起因性胃粘膜傷害の発生をある程度防御している可能性が考えられる
- 獨協医科大学の論文
- 2003-03-25
著者
関連論文
- レチノイン酸は大腸上皮細胞においてNF-k B シグナリングを活性化する
- 胃粘膜上皮細胞のTFF1発現に対するcAMP/Protein kinase A経路の影響
- 胃粘膜上皮細胞のトレフォイルファクター (TFF) およびムチンコア蛋白 (MUC) 発現に対するSOX2の影響
- 鉄欠乏性貧血
- 8.当科におけるカプセル内視鏡検査の使用経験(一般演題,第35回獨協医学会)
- 消化性潰瘍の診断と治療
- 心筋まで穿通した胃潰瘍の一剖検例
- ブチル-2-シアノアクリレートを用いた内視鏡的硬化療法が有効であった出血性十二指腸静脈瘤の2例
- 出血性消化性潰瘍に対するアルゴンプラズマ凝固法による内視鏡的止血術の臨床的検討
- 胃粘膜上皮細胞のtrefoil factor family発現に及ぼすindomethacinの影響
- 胃粘膜上皮細胞におけるtrefoil factor family 1 (TFF1)発現に影響を与える因子に関する検討
- レチノイン酸による大腸上皮細胞NF-κBシグナリングの活性化
- 胃粘膜上皮細胞の trefoil factor (TFF) およびムチンコア蛋白(MUC)発現に対するSOX2の影響
- 潰瘍性大腸炎に合併し10年間経過観察し得た dysplasia の1例
- 癌合併を認めた胃型腺腫の1例
- 当科・人間ドック(一泊二日)における血清 Helicobacter pylori(H. pylori) 抗体(IgG抗体)陽性例の検討 : とくに血清ペプシノゲンとの関連について
- 遺伝子診断
- 鉄欠乏性貧血と Helicobacter pylori 感染症
- NSAID潰瘍とPPI
- 8.急性胃粘膜病変
- 鉄欠乏性貧血
- 病因防御因子の役割
- トレフォイルファクター (TFF) と消化管疾患
- 消化器疾患とストレス
- 中枢神経系による消化器の臓器相関 : 脳内神経ペプチドの関与
- ニコチン門脈内投与が肝血流に及ぼす効果
- カプサイシン感受性神経および calcitonin gene-related peptide が肝血流に及ぼす影響
- 中枢性神経ペプチドによる膵臓における脳腸相関
- 1.消化性潰瘍の診断と治療
- 亜鉛の生体作用の molecular biology 胃粘膜上皮細胞におけるIL-8発現のポラプレジンクによる抑制
- 内科的治療の新しい展開
- 心筋まで穿通した胃潰瘍の一剖検例
- 出血性消化性潰瘍に対するアルゴンプラズマ凝固法による内視鏡的止血術の臨床的検討