レチノイン酸は大腸上皮細胞においてNF-k B シグナリングを活性化する
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概要
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All-trans retinoic acid(ATRA)は核内受容体であるretinoic acid receptor(RAR)のリガンドであり,消化管を含む多くの組織で重要な生理作用を有している.最近,臨床的なレチノイン酸の使用と炎症性腸疾患との関連が注目されているが,この問題に関する基礎的な検討は行われていない.今回我々は,大腸癌由来細胞株を用いて,炎症・免疫応答において中心的な役割を果たしているnuclear factor- k B(NF-k B)シグナリングに対するATRA の影響について,レポーター遺伝子解析法,リアルタイム定量的 RT-PCR法にて検討を行った.ATRA および他のレチノイド化合物(9-cis retinoic acid,13-cis retinoic acid,AM580,retinol)は,大腸癌由来細胞株において用量依存性に NF-k B を活性化した.また,ATRA はNF-k B の代表的な標的遺伝子であるIL-8の発現を誘導した.RAR の活性化と比較するとNF-k B 活性化に要するATRA の濃度域は高かった.TNF-a によるNF-k B の活性化,IL-8発現誘導は,ATRA をプレインキュベーションすることにより著明に増大し,相乗的な効果が認められた.ATRA はNF-k B サブユニット(RelA,p50)の発現を増大させ,TNF受容体(TNFR1)の発現レベルも上昇させていた.これらの結果より,レチノイン酸は大腸上皮細胞においてNF-k B シグナリングを活性化し,TNF-a に対する感受性を増大させている可能性が示唆された.
- 2010-03-25
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