山口大学医学部医学科学生の希望診療科に関する調査
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
診療科偏在を含む医師不足が社会的課題となっている.本研究は,山口大学医学部医学科学生(平成22年度)を対象に,将来進む可能性のある診療科について調査を行った.調査は,全医学生を対象に,無記名自記式質問紙にて,診療別に将来の進む可能性について回答を求めた.600名の学生のうち447名から回答があった.将来進む可能性が「かなり高い」または「高い」と回答した割合のもっとも高い診療科は内科(48.4%)で,外科23.5%,小児科23.3%,総合診療科20.7%,救急救命科17.2%と続いた.男女による希望診療科の違いについて,外科,脳神経外科,整形外科,救急救命科で男性の割合が高く,小児科,麻酔科,産婦人科,皮膚科,基礎で女性の割合が高かった.2年前に行った同様の調査と比較すると,希望する診療科の割合に有意な変化はなかった.学年が上がるにつれて内科を希望する学生の割合が高くなっていた.地域医療に関連した奨学金貸与・地域枠学生は,他の学生に比較して,小児科と産婦人科を希望する割合が高かった.本調査は卒後の実際の進路を示すものではないが,今回示された進路希望や属性によるその違いは,医師の診療科偏在の解決策を講じるにあたり参考にすべきものであると思われる.This study was conducted to examine specialty preferences of students attending Yamaguchi University School of Medicine. In total, 447 of 600 medical students of 2010 fiscal year responded to a self-administrated questionnaire about the probability of selecting each specialty in the future. Internal medicine was the most commonly preferred specialty, with 48.4% of students answering“very high”or“high”probability. General surgery (23.5%), pediatrics (23.3%), general medicine( 20.7%) and emergency medicine (17.2%) followed. There was a remarkable gender difference;general surgery, neurosurgery, orthopedics and emergency medicine tended to be preferred by males, while pediatrics, anesthesiology, gynecology and obstetrics, and dermatology were generally preferred by females. There was no significant difference in the specialty preferences between 2008 and 2010 surveys. The preference for internal medicine increased with advancing student years. The students of quotas related to rural and community medicine preferred pediatrics and gynecology and obstetrics more compared to other students. The results of this study should be considered for effective strategies to address specialty maldistribution of physicians.
- 山口大学医学会の論文
- 2011-10-31
著者
-
福田 吉治
山口大学医学部地域医療学
-
瀬川 誠
山口大学医学部附属病院集中治療部
-
安部 真彰
山口大学医学部地域医療推進学講座
-
瀬川 誠
山口大学医学部地域医療推進学講座
-
岡野 美咲
山口大学医学部医学科
-
中村 浩士
山口大学医学部地域医療推進学講座
-
中村 浩士
山口大学医学部 地域医療推進学講座
-
瀬川 誠
山口大学医学部
関連論文
- 181) クラミジアペプタイドによる自己免疫性心筋炎の誘導と実験的トレランスの試み:心筋炎抑制のための新しい治療戦略
- 173) 分離リモデリング心臓モデルにおけるTNF-αの誘導と作用
- 0801 ウイルス性心筋炎後マウスにおける再感染の検討
- 121)ウイルス性心筋炎慢性期における再感染の影響
- 183) マウス超慢性心筋炎の解析
- 心筋梗塞後におけるリモデリングと心機能低下の遠隔作用 : 分離心筋梗塞モデルにおける腫瘍壊死因子αの動態と作用の検討
- 診療科長のオピニオンによる山口県の必要医師数の推計
- 103) ウイルス性心筋炎に対するACE阻害剤(cilazapril)の効果(日本循環器学会 第66回中国地方会)
- 勤務時間制限に基づく山口県の病院勤務医必要数の推計
- 7.待機手術後に緊急で集中治療室に入室した症例の検討(セッション2,第25回山口県集中治療研究会)
- 平均余命と加重障害保有割合(WDP)に基づく都道府県の2次元分類と地域特性の比較検討
- 97)マウスウイルス性心筋炎の研究 : 心筋炎病巣の経時変化(日本循環器学会第64回中国地方会)
- 98) 虚血心及び健常心での心拍変動の変化
- 心拍変動への呼気ガス分析用マスクによる死腔の影響
- 24) 運動耐容能と安静時心拍変動一調節呼吸による検討
- 医学生・研修医の研修病院選択理由等に関するフォーカスグループインタビュー
- 病院長を対象にした山口県内病院の必要医師数に関する調査
- 都道府県がん対策推進計画における死亡統計の利活用--地域診断は年齢調整死亡率を用いて適切に行われているか?
- 大学における地域医療(学)の役割(特別講演II,講演抄録,第111回山口大学医学会学術講演会)
- 96)接着分子の発現を含め免疫学的解析を行い得た激症型急性心筋炎の一例(日本循環器学会第64回中国地方会)
- 介護保険統計を用いた高齢者健康指標の提案と指標の関連要因
- 68) 重症僧帽弁閉鎖不全症を合併したミトコンドリア心筋症の一例(日本循環器学会 第78回中国地方会)
- 茨城県5市町における障害者の割合の経年変化による介護予防事業のアウトカム評価の試み
- 特定保健指導の評価(2):国保データによる準実験デザインを用いて
- 特定保健指導の評価(1):国保データを用いた積極的支援と動機づけ支援の比較
- 成人式を利用した健康関連生活習慣に関する調査の試み
- 茨城県全市町村の加重障害保有割合(WDP)と障害調整健康余命(DALE)の経年的算出と地域間比較
- DALE・WDPの基礎知識--生活の質がみえる高齢者健康指標を知ろう! (特集 「障害調整健康余命」を保健活動に活かす)
- 山口大学医学部医学科学生の山口県での研修希望に関する調査
- 山口大学医学部医学科学生の希望診療科に関する調査
- 特定保健指導の評価(2) : 国保データによる準実験デザインを用いて
- 特定保健指導の評価(1) : 国保データを用いた積極的支援と動機づけ支援の比較
- 多発性肝転移に対し, Degradable starch microspheres (DSM) とリピオドールによる肝動脈化学塞栓療法を施行後, オクトレオチド酢酸塩を継続投与した回腸原発神経内分泌腫瘍肝転移の一例
- 山口大学医学部医学科学生の希望診療科に関する調査
- 都市部高齢者における閉じこもり予備群の類型化 : 介護予防対策の具体化に向けて
- 都市部高齢者の閉じこもりと生活空間要因との関連
- 『茨城県保健医療福祉データ集』作成の意義 : 時系列の変化をとらえるために
- へき地医療機関における糖尿病診療の横断研究
- 都道府県がん対策推進計画の現状と第二期への期待
- 先進事例から学ぶ都道府県のがん対策:がん予防を中心に
- An Improvement of Liver Cirrhosis Classification Using Ultrasonic Images
- Sarcoidosis with Complete Atrioventricular Block Diagnosed by Laparoscopic Liver Biopsy
- タイトル無し
- 超音波画像を用いた肝硬変識別の高精度化
- 介護保険制度改正に伴う要介護度別の効用値の測定, および都道府県の加重障害保有割合(WDP)と障害調整健康余命(DALE)の算出