反復温熱刺激のII型糖尿病患者血糖とHbA_<1C>ならびに血小板グルタチオン代謝に及ぼす影響
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概要
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糖尿病患者の抗酸化防御機構に与える反復温熱刺激の影響を知る自的で、インスリン非依存性糖尿病患者12名において、1ヶ月の温泉療法前後で血小板グルタチオン代謝を検討した。水温39~40℃で一日2、3回の入浴を指導した。温泉治療前の還元型グルタチオン(GSH)値は空腹持血糖(FPG)値と正相関があり(r=0.692、P<0.05)、糖尿病(酸化的ストレス)のためにGSH合成が誘導されていた。GSH値はFPG値が150mg/dl未満のコントロール良好群では、温泉療法後上昇し(P<O.O1)、150以上のコントロール不良群では減少しており(P<0.05)、温泉療法により酸化的ストレスが軽減されていた。グルタチオン過酸化酵素(GPX)活性値はFPG値と負の相関があり(r=-0.430、P<0.05)、糖尿病患者における抗酸化防御機構の障害が示唆された。また、GPX活性値は温泉療法後合併症が重症な例で低下し、この様な例では抗酸化防御能が回復しづらいと考えられた。過酸化脂質値は重症な合併症のある患者で温泉療法後低下した。以上より、糖尿病患者の血小板グルタチオン代謝は温泉療法により改善される部分があり、この温泉療法の効用は糖尿病合併症の存在や血糖値に依存しているものと考えられた。To know the effect of repeated thermal stimulation on antioxidative defense system in patients with diabetes,gl utathione metabolism in the platelet was studied before and after one month balneotherapy in 12 non-insulin-dependent diabetic patients. The patients were instructed to take a bath twice or thrice a day at water temperature of 39℃~40℃. Before the balneotherapy,the levels of GSH in the platelet were well correlated with those of fasting plasma glucose (FPG,r=0.692,P <0.05),which suggested that GSH synthesis was induced by diabetes (or oxidative stress). After the balneotherapy,in well-controlled patients (FPG< 150 mg/dl),the lebel of GSH increased (P<O.O1),and in poorly controlled patients (FPG≧150 mg/dl),the level decreased (P< 0.05). These findings indicate that oxidative stress is decreased by balneotherapy. There was a negative correlation between glutathione peroxidase (GPX) activities and the levels of FPG (r= -0.430,P <0.05),which implied that antioxidative defense system was damaged in diabetic patients. After balneotherapy,the GPX activity decreased in patients with severe diabetic complications,indicating that in these patients antioxidative defense system hardly recovered. The levels of lipid peroxide (LPO) also decreased in these patients. From these findings,we conclude that,the platelet glutathione metabolism can be partly improved by balneotherapy,and the favorable effect of balneotherapy seems to be dependent on the existence of diabetic complications and the plasma glucose level.
- 日本臨床環境医学会の論文
- 1996-12-25
著者
-
高山 茂
北海道大学医学部
-
阿岸 祐幸
北海道大学医学部
-
大塚 吉則
北海道大学 保健管理センター
-
大塚 吉則
北海道大学リハビリテーション医学講座
-
藪中 宗之
北海道大学医学部加齢制御医学講座
-
薮中 宗之
北海道大学医学部リハビリテーション医学講座
-
阿岸 祐幸
北海道大学医学部附属病院登別分院
-
高山 茂
万代クリニック
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