分子動力学シミュレーションによるミクロポーラスシリカ膜における二元的細孔構造と気体透過性の検討
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概要
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ミクロポーラスシリカ膜の細孔構造,および膜構造特性と気体透過性の関係について分子動力学シミュレーションを用いて検討した.仮想シリカ膜は修正Born–Mayer–Huggins(BMH)二体ポテンシャルとStillinger–Weber(SW)三体ポテンシャルを用いて溶融急冷法により作製した.本研究においては,二種類の仮想シリカ膜モデルを作製した.一つはシリカポリマーにより形成されたネットワーク細孔モデル,もう一つはネットワーク細孔と粒界細孔を模した貫通孔的な細孔から成る二元的細孔モデルである.各仮想膜内における気体透過シミュレーションは非平衡分子動力学法を用いて行った.透過分子はHe,CO2とし,300–800 Kにおいて透過係数を算出した.ネットワーク細孔モデルにおいてはCO2の透過は確認できず,Heの透過特性は実測データと良好に一致した.これらの結果は本研究において作製したネットワーク細孔モデルの定性的な妥当性を示している.一方で二元的細孔モデルにおいてはCO2の透過が確認でき,粒界細孔の存在が仮想膜内の気体透過性に影響を及ぼしていることが示された.これに加え,CO2の透過特性は実測の傾向と一致し粒界細孔を模した貫通孔的な細孔の定性的な妥当性が示された.しかしながら,二元的細孔モデルにおけるHe, CO2の透過係数は実測データと一致せず,実測データよりも大きかった.粒界細孔一つに対するネットワーク細孔で構成される膜面積の割合を増やすことで,実測データに近づくことから本研究で作製された二元的細孔モデルは単位膜面積当たりのネットワーク細孔の割合を過小評価したモデルであると考えられる.シミュレーションにおける各気体の透過係数の絶対値が実測の透過係数に一致するように膜面積を補正すると,1辺が8.5–12.6 nmの正方形あたり一個の粒界細孔が存在するという結果を示した.このように分子シミュレーションによりネットワーク細孔/粒界細孔の存在割合といったシリカ膜のミクロ構造に関する知見を得ることができた.
- 2010-07-20
著者
-
中田 章博
広島大学大学院工学研究院物質化学工学部門
-
吉岡 朋久
広島大学大学院工学研究院物質化学工学部門
-
金指 正言
広島大学大学院工学研究院物質化学工学部門
-
都留 稔了
広島大学大学院工学研究院物質化学工学部門
-
金指 正言
広島大学大学院工学研究科
-
都留 稔了
広島大学大学院工学研究科物質化学システム専攻
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吉岡 朋久
広島大学大学院工学研究科
-
都留 稔了
広島大学大学院工学研究院 物質化学工学部門
-
金指 正言
広島大学大学院 工学研究院 物質化学工学部門
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中田 章博
広島大学大学院工学研究院 物質化学工学部門
-
都留 稔了
広島大学大学院工学研究科 物質化学システム専攻
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