クロマツの節におけるマツノザイセンチュウの移動抑制
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概要
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クロマツにおける節の存在や形態がマツノザイセンチュウ (以下, 線虫) の移動に与える影響を明らかにするため, 節の条件が異なるクロマツ切り枝に線虫を接種し, 通過数を調べた。また, 節における皮層樹脂道の形態を観察した。さらに, クロマツ苗木に線虫を接種し, 輪生枝数と病徴進展との関係を調べた。通過線虫数は, 節の無い切り枝よりも節のある切り枝で少なく, さらに節の輪生枝が多い切り枝ほど少なかった。このことから, クロマツの節では線虫の移動が抑制され, その効果は輪生枝数が多いほど強いことが明らかになった。また, 節付近では, 皮層樹脂道の結合や走行方向のわん曲がみられ, 節から離れた部位よりも節の皮層樹脂道の横断面は小さく, 数も少なかった。このような節の皮層樹脂道の形態が, 節における線虫の移動抑制の一要因であると考えられた。さらに, 接種部位直下の輪生枝数が多い苗木ほど病徴の発現が遅い傾向がみられたことから, 輪生枝の多い節で線虫の移動が抑制されたことにより樹体の病徴発現が遅延したと考えられた。
- 2010-02-01
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