給与飼料の構成要因が泌乳中期牛の乳タンパク質率に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
冬季(12月〜3月)に調査したホルスタイン種泌乳中期牛101頭のフィールドデータを用いて,給与飼料の構成要因(飼料要因)が乳量,乳タンパク質率および無脂固形分(SNF)率に及ぼす影響を多変量解析(重回帰分析および線形判別分析)により検討した.乳量に関する重回帰式の寄与率(R2)は0.76(P<0.01)であり,飼料要因の中で乾物(DM)給与量の相対寄与率が77.0%と顕著に高く,粗タンパク質(CP)含量と合計した相対寄与率は95.9%を占めた.一方,乳タンパク質率に関する重回帰式(R2=0.50 : P<0.01)では,もっとも高い相対寄与率を持つ飼料要因はDM給与量52.3%,次いで粗脂肪(EE)含量24.5%,粗飼料中の可消化養分総量(TDN roughage)含量14.4%の順であった.SNF率に関する重回帰式では,DM給与量の相対寄与率が47.9%,EE含量23.5%,TDN roughage含量17.7%の順であった.これらの重回帰分析結果に基づき,乳量,乳タンパク質率およびSNF率について線形判別分析を行った.線形判別関数式の説明変数は,乳量をもっともよく予測すると考えられたCP給与量(DM給与量×CP含量)と,乳タンパク質率およびSNF率に影響を及ぼしていると判断されたEE含量,TDN roughage含量の3項目とした.線形判別分析の結果から,4%脂肪補正乳(FCM)が37kg/日以上であれば,乳タンパク質率およびSNF率がそれぞれ3.3%以上,8.9%以上の乳質を得ることは難しいと考えられた.しかし,この乳量未満で,給与飼料中のEE含量が3.7%以下,かつTDN roughage含量が55.5%以上であるような条件が満たされれば,乳タンパク質率3.3%以上およびSNF率8.9%以上を期待できると推察された.
- 社団法人日本畜産学会の論文
- 2005-02-25
著者
-
古賀 康弘
福岡県農業総合試験場
-
梅田 剛利
福岡県農業総合試験場畜産研究所
-
柿原 孝彦
朝倉地域農業改良普及センター
-
横山 学
福岡県農業総合試験場
-
梅田 剛利
福岡県農業総合試験場
-
古賀 康弘
福岡県農業総合試
関連論文
- 乾燥カンショを含むTMRの給与が泌乳牛の乾物摂取量,第一胃内性状および泌乳成績に及ぼす影響
- 豚カゼインミセルのミセル性リン酸カルシウム架橋
- 乳牛における給与飼料中の蛋白質の第1胃における分解率の違いが乳量・乳成分・乳中窒素の構成に及ぼす影響
- TMRへの酵素剤添加がin vitro消失率およびそれを採食した泌乳初期牛の摂取量,第一胃内性状,泌乳成績に及ぼす影響
- 乳牛用TMRへの酵素剤添加がスーダングラス乾草のin situ消失率に及ぼす影響
- B-20-39 センサNWによる乳牛の分娩兆候検知(B-20. ユビキタス・センサネットワーク,一般セッション)
- 乳牛用TMRへの酵素剤添加による繊維消化および乳量・乳成分の改善
- 子牛の増体、泌乳牛の乳量・乳成分向上を促す飼料への酵素添加
- 西南暖地における夏期のTMR(混合飼料)給与回数が泌乳牛の乾物摂取量,乳量および乳成分に及ぼす影響
- ナイシンAを利用した酪農分野における牛感染症防除 (特集 保存料等食品添加物の研究の最前線)
- 乳牛におけるイタリアンライグラスロールベールラップサイレージの自由採食量と飼料成分, 第一胃内滞留時間, 消化率, 消化速度との関係
- ストレッチフィルムの色と遮光シ-トの利用がイタリアンライグラスラップサイレ-ジの品質に及ぼす影響
- 豚の防暑技術-2-繁殖豚における庇陰,送風及び散水の防暑効果
- 豚の防暑技術-1-肥育豚における送風及び散水の防暑効果
- 家畜の発声音の種内特性の検討
- 豚の色覚に関する研究 : 有彩色と無彩色の識別能力
- 近赤外分光法によるイタリアンライグラスサイレージの有機酸含量の測定
- 晩夏播における飼料用麦類とイタリアンライグラスの混播栽培
- 近赤外分析法によるスーダングラス無機成分含量推定技術
- 排卵同期化・定時人工授精による乳牛の分娩間隔短縮
- 給与飼料の構成要因が泌乳中期牛の乳タンパク質率に及ぼす影響
- 福岡県内で生産されるイタリアンライグラスの主要無機成分含量迅速測定のための近赤外分光法の利用価値
- 哺乳ロボットにおける代用乳設定量が乳用種新生雄子牛の人工乳摂取量及び発育に及ぼす影響
- 西南暖地・亜熱帯地域におけるラップサイトレージの品質安定化技術
- 小型反射式光度計による牧草中硝酸態窒素含量の簡易推定法
- 粗飼料中の繊維成分含量を用いた乳用種育成牛の乾物摂取量推定
- 同一キャリブレ-ションによる異種粗飼料中繊維性成分推定の可能性
- 近赤外分光法による肉牛ふん堆肥の無機塩類含量の測定
- 転換畑における青刈りトウモロコシ(Zea mays L.)の不耕起作溝栽培法の開発
- 添加剤を用いた良質サイレ-ジの調製技術-2-乳酸菌と糖の添加によるサイレ-ジ発酵の推移
- 主要トウモロコシ品種の群別特性
- 酪農総合診断システム「酪楽手帳」の開発-4-飼料生産管理・施肥設計プログラム
- トウモロコシとソルガムの混播による転換畑飼料作物の安定生産
- ギニアグラス(ナツカゼ)の栽培法改善
- 早期水稲後地に適する飼料作物の晩夏播き栽培と冬期におけるサイレ-ジ調製
- 飼料用麦類の播種方法・播種密度
- 飼料ヒエの栽培法
- 群管理飼養方式におけるロールベールサイレージ給与方法の違いが泌乳牛の飼料摂取量および泌乳成績に及ぼす影響
- 分娩後の乳牛におけるTDN充足率と血漿成分および繁殖性との関係
- ミルキングパーラ内における搾乳牛群の排せつ行動の低減
- 群飼養管理方式酪農経営における経営指標の検討
- 高泌乳牛に対する稲ワラの給与が乳量及び乳成分に及ぼす影響
- 高乾物率の混合飼料(TMR)における乾物率および4-ギ酸アンモニウム(ATF)添加が調製後の発熱特性に及ぼす影響
- ミルキングパーラにおける牛の入室・退出方式およびパーラ頭数規模が搾乳の作業性に及ぼす影響
- フリ-スト-ル飼養方式酪農家における生産技術の構造と作業性
- 夏期における高乾物率の混合飼料(TMR)給与が泌乳牛の乾物摂取量および泌乳成績に及ぼす影響
- 福岡県の畜産情勢と試験研究
- 乳牛の繁殖成績に及ぼす給与飼料の影響
- 技術情報1 子牛用の哺乳ロボットの利点と問題点の改善策
- 西南暖地における産次別および分娩季節別泌乳曲線の特徴
- 豚産肉能力直接検定における季節の影響に関する成績補正法
- 大ヨ-クシャ種系統豚の組合せ検定-1-3元雑種(WL・D)肉豚の産肉性及び肉質
- 西南暖地の暑熱環境下での豚の飼料摂取促進技術-1-肥育豚に対する低蛋白質飼料へのリジンの添加効果
- 豚の高床式分娩柵の効率的利用法
- 豚の産肉能力に及ぼす諸要因の影響-2-平均気温の影響
- 豚の産肉能力に及ぼす諸要因の影響-1-気温及び季節の影響
- 豚精液の凍結保存技術-2-錠剤化凍結精液による人工授精適期
- 豚精液の凍結保存技術-1-錠剤化凍結精液の処理方法と精子生存性
- 交雑の違いが豚肉質に及ぼす影響
- 種雌豚の生産性向上-2-超音波による豚の早期妊娠判定
- 大規模酪農経営構築のための高能力牛群管理
- 麦焼酎粕濃縮液を混合したTMRサイレージの発酵品質および乾乳牛の嗜好性
- 乳牛用TMRへの酵素剤添加がスーダングラス乾草のin situ消失率に及ぼす影響