豚産肉能力直接検定における季節の影響に関する成績補正法
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概要
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豚の産肉能力直接検定成績のうち,1日平均増体量(DG),飼料要求率(FC)および検定日数(DAY)のデータを分析して,これらの成績に対する季節の影響を評価し,季節に関する補正式を求めた.データは,大ヨークシャー種とランドレース種138頭から得られたもので,1981年から1984年にかけて福岡県農業総合試験場で産肉能力直接検定に供された雄豚の検定成績である.データの分析にあたっては,直接検定の開始月日をX-Y座標系で原点回りの角度に変換した.その際,角度は時計回りの方向にとり,Y軸の正の部分を12月31日とした.各データは,この座標上で,検定成績および検定開始月日により大きさと方向を与えられ,原点を始点としたベクトルに変換された.その結果,各データを表すベクトルの終点は,楕円状に分布することが明らかになった.そこで,各データについて,ベクトルの終点の分布に最もよく当てはまる楕円の式を求めた.この当てはめた楕円により,DGの分散の84.4%,FCの分散の65.9%, DAYの分散の89.7%がそれぞれ説明された.それらの楕円の性質から,次の季節補正式を導いた.ΔDG(kg/日)=0.759-[1/(2.274-0.5049×sin2θ-0.2692×sinθcosθ)]1/2ΔFC=[1/(0.085+0.0186×sin2θ+0.0194×sinθcosθ)]1/2-3.05ΔDAY(日)=[1/1.48/104+(4.75/105)×sin2θ+(3.21/105)×sinθcosθ] 1/2-70.6ここで,θは(360°/365日)×(12月31日から検定開始月日までの日数)である.この式を用いた季節補正により,誤差分散の大きさは変化しなかったが,気温の変動による分散は著しく減少し,補正の有効性が示された.本研究で得られた豚の季節補正に関する基本的な考え方は,広くいろいろな条件のもとで得られたデータにも応用できるものと考えられる.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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