看護師が外来で行う慢性腎臓病1-4期の患者教育実施率と実施に影響を及ぼす「構造」の分析
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概要
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【目的】本研究の目的は,看護師が外来で行う慢性腎臓病(CKD)1〜4期の患者教育実施率と,実施に影響を及ぼしている診療外来の「構造」を明らかにすることである.【方法】研究方法は,郵送法による自記式質問紙を用いた実態調査である.対象施設は,日本透析医学会と日本腎臓学会の名簿の中から等間隔抽出法にて2,024施設を抽出した.回答者は,各施設1名の担当看護師である.分析方法は,患者教育の定義に基づいた教育群,準教育群,未実施群への分類・集計と,3群間の「構造」の差の検定である.【結果】有効回答354通の分析によって,次のことがわかった.1)看護師が行うCKD 1〜4期の患者教育実施率は,13.0%であった.2)看護師による患者教育実施には,複数種類の腎代替療法の実施や,受診患者の疾患などの傾向では腎臓内科的疾患が中心であることが有意に関連していた.これは準教育群でも同様に有意であった.3)看護師による患者教育実施には業務の少なさではなく,多さが有意に関連しており,他群より有意に多くの外来業務を「必ず行う」としていた.4)看護師による患者教育の実施には,専門資格取得看護師の配置や採血室の設置などが有意に関連していた.【考察】看護師によるCKD 1〜4期の患者教育の実施は,主として腹膜透析などの実施に伴うものと考えられるが,13%と少ない.しかし,患者教育は専門資格取得看護師を配置することによって,実施しやすくなると思われ,慢性疾患看護専門看護師をはじめとする高度な専門性を身につけた人材育成が必要である.また,採血室を設けて外来看護の機能分化を図ることなども有効である.だが煩雑な外来業務の中で,看護師が行う患者教育数の増加や実施施設の拡大を図るには限界がある.拡充を図るには,業務整理・分担を行って看護師を外来業務の煩雑さから解放し,看護師を患者に集中させることが必要と考えられる.
- 社団法人 日本透析医学会の論文
- 2009-05-28
著者
-
高橋 さつき
群馬県立県民健康科学大学
-
高橋 さつき
群馬大学大学院医学系研究科保健学専攻
-
岡 美智代
群馬大学医学部保健学科
-
恩幣 宏美
群馬大学大学院医学系研究科保健学専攻
-
佐藤 久光
衆済会増子記念病院
-
杉田 和代
聖マリアンナ医科大学病院
-
田村 幸子
金沢医科大学看護学部
-
佐藤 久光
増子記念病院
-
恩幣 宏美
群馬大学医学部保健学科
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恩幣 宏美
公立甲賀病院 透析室
-
高橋 さつき
群馬大学医学部附属病院
-
恩幣 宏美
群馬大学大学院保健学研究科
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