分子プローブによる細胞イメージング
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
生命科学研究のゴールの一つは生理活性分子 (生理活性小分子のみならず受容体,酵素,イオンチャネルなども含む)の作用を生きている(あるいは活性を持っている)その場で明らかにすることである.そのための手段として分子イメージングの果たす役割は大きく,イメージング技術を支えるPETや蛍光顕微鏡などの測定機器と共にプローブの存在が必要不可欠である.例えば,カルシウムイオンが生命にとって非常に重要な化学種であることを否定する人はいないであろう.カルシウムイオンの生理機能の解明にはカルシウムイオンを生細胞中あるいは生体組織から捉えるバイオイメージングプローブの存在は極めて大きく,現在でも多くの研究者により汎用されている.カルシウムイオンイメージングプローブがもし創製されなかったとしたら,カルシウムイオンの研究はこれほど進展しなかったと思われる.この例に見られるように,プローブは多くの生命科学研究者に求められている生体の機能探索分子である.重要な生理活性分子をカルシウムイオンと同じようにイメージングすることが出来れば,生命科学研究は一段と進展することは疑いない.では,このようなプローブを創製するために重要なことは何か?実用的な機能性プローブはランダムに蛍光化合物を合成しても生み出されることはない.蛍光特性を制御する原理が重要であり,新たな原理が見出されれば,その原理からいくつもの新たなバイオイメージングプローブが開発できる.本稿では原理を簡単に紹介し,それに基づいたプローブの分子設計法と合成,およびそれらを生細胞などに応用した実例を紹介する.
- 2008-07-01
著者
-
長野 哲雄
東京大学 生物制御化合物ライブラリー機構
-
長野 哲雄
東京大学 薬研究 薬品代謝化
-
小島 宏建
東京大学 生物制御化合物ライブラリー機構
-
長野 哲雄
東京大学 大学院
-
長野 哲雄
東京大学 創薬オープンイノベーションセンター
-
小島 宏建
東京大学 創薬オープンイノベーションセンター
関連論文
- 蛍光プローブの精密設計に基づくがんのin vivo蛍光イメージング (ケミカルバイオロジー) -- (バイオイメージング がんのイメージング)
- バイオイメージングにおけるプローブの開発研究とその生体系への応用
- 化粧と薬学
- 創薬研究基盤としての化合物ライブラリーの構築 (特集 次世代ケミカルバイオロジーの新展開)
- 分子プローブによる細胞イメージング
- 背景解説 化学が貢献できる医学分野の課題 (特集 先端医学に貢献する化学)
- 1M1000 NO合成酵素の細胞膜への局在化は脳の記憶・学習に関与するNOを効果的に産生させる(15.神経・感覚,一般演題,日本生物物理学会第40回年会)
- 2P186人工NO産生細胞における神経ステロイドによるNO産生増強の可視化解析
- 新春座談会 研究で一歩先をゆく発想力とは
- 日本の科学行政を語る : 科学技術創造立国を目指して
- 2P203新規NO感受性蛍光色素DAR-4M AMを用いた海馬スライスにおける領野特異的NO産生の可視化解析
- 3L1600 人工NO産生細胞における神経ステロイド存在下でのNO産生の可視化解析
- 3PD050 NO産生経路再構築系でのNOシグナルの可視化解析
- 神経ステロイドによるNMDA受容体を介する細胞機能修飾の可視化解析
- 長野哲雄 会頭に聞く
- 3L1530 新規NO感受性蛍光色素DAF-FMを用いた海馬スライスでのNO産生増強の可視化解析
- 3PD051 ステロイドによる海馬スライスでのNO産生増強の可視化解析
- 一酸化窒素(NO)プローブ群の開発 (ケミカルバイオロジー) -- (バイオイメージング 活性酸素種イメージングプローブ)
- NO を測る(測る化学)
- 一酸化窒素の分析法
- 生細胞プローブの分子設計--一酸化窒素(NO)蛍光プローブDAFの開発
- 一酸化窒素のバイオイメージングを目的とした生体プローブの分子設計
- 培養脳神経細胞でのNO信号の蛍光顕微イメージング
- ケミカルバイオロジーを語る
- ケミカルバイオロジーは何を目指すか : バイオイメージング研究と創薬研究
- 奨励賞受賞 花岡健二郎氏の業績
- ドイツ陸軍軍医 レオポルド・ミュルレル博士
- 日本薬学会 : 輝かしい未来に向けて
- 将来展望委員会の新設
- 韓国薬学会出席報告
- 日本薬学会の国際交流
- 新公益法人制度への取り組み
- 日本薬学会薬学教育改革大学人会議
- 大正から昭和初期にかけて日本に医薬分業を実践した模範薬局があった
- 創薬研究の勧め : 創薬研究の基盤として化合物ライブラリーの整備が重要
- 日本薬学会会員増強運動への提言-その2 : 企業所属の会員数が減少している
- 日本薬学会会員増強運動への提言 -その1 : 支部大会の活性化は日本薬学会会員の増加につながる
- 功労賞受賞 小林利彦氏の業績
- 一酸化炭素窒素の特異的検出法の開発とその生体系への応用
- アカデミア創薬の幕開け : 大学で取組む"本格的創薬研究"
- 『創薬オープンイノベーションセンター』 ―創薬シーズの創製に向けた研究支援ネットワーク―