加工食品中のジベンゾイルチアミンを含む総ビタミンB_1新規定量法
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概要
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ジベンゾイルチアミン(DBT)を含有する加工食品中のビタミンB1 (チアミン塩酸塩)総量を正確に測定する目的で,タカジアスターゼによる酵素分解後,さらにDBTをアルカリ加水分解し,遊離するチアミンをカラムスイッチング法にてプレカラム精製を行い,高速液体クロマトグラフ法にて定量する方法を検討した.(1)DBTをチアミンに完全にアルカリ加水分解させるため,システイン存在下,0.49mol/L水酸化ナトリウム溶液中,室温で30分間反応させる条件を確立した.なお,本条件下で加水分解後のチアミンが安定なことを確認した.(2)0.002〜1.0μg/mlの濃度におけるチアミン塩酸塩標準溶液の直線性は,相関係数0.9999以上と良好であった.(3)DBT含有食品に対して,本試験法の相対標準偏差は2.2%,かつ差し引き添加回収率83〜110%と良好な,繰り返し精度及び真度を確認した.(4)DBTを含まないビタミンB1含有食品について,本試験法の相対標準偏差は2.4%,かつ本試験法での定量値と公定法で得られた定量値を比較検討した結果,統計学的有意差を認めなかった(危険率5%).(5)定量下限は,クロマトグラムのS/Nより0.004mg/100gと推定されたことから,加工食品中のマトリックを考慮し,0.01mg/100gと設定することが妥当であろうと考えられた.以上より本試験法は,DBTの含有の有無に関わらず,加工食品中の総ビタミンB1を定量できることが示された.
- 社団法人 日本食品科学工学会の論文
- 2008-09-15
著者
-
吉田 幹彦
財団法人日本食品分析センター
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菱山 隆
財団法人日本食品分析センター
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五十嵐 友二
財団法人日本食品分析センター
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五十嵐 友二
食品分析センター
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吉田 幹彦
財団法人 日本食品分析センター
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菱山 隆
財団法人 日本食品分析センター
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五十嵐 友二
財団法人 日本食品分析センター
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吉田 幹彦
財団法人日本食品分析センター栄養科学部
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