肝不全用アミノ酸製剤の腹腔内投与が有効であった肝硬変合併腹膜透析患者の1例
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概要
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今回われわれは, 肝性脳症のコントロールのため腹膜透析液に肝不全用アミノ酸製剤 (アミノレバン®) を混注使用することで, 脳症のコントロールが容易になった症例を経験した. 症例は62歳, 男性. 難治性腹水合併肝硬変を有する患者で, 慢性腎不全のため2004年12月 (61歳) 腹膜透析導入. 2005年5月交通外傷によりバッグ交換操作が不能となり当科入院. 入院中から高NH3血症, 肝性脳症が出現し, 肝不全用アミノ酸製剤投与 (アミノレバン®) の点滴加療を開始. 内服薬に変更し8月退院. 退院後, 頻回に脳症を生じアミノレバン®内服のみでの脳症コントロールが困難となりアミノレバン®点滴も週1〜2回受けていた. 肝性脳症悪化のため, 同年9月当科再入院. 点滴注射のための血管確保困難, 退院後の脳症コントロールを考慮し, 1日1回アミノレバン®腹腔内投与を開始. 以後順調に高NH3血症ならびに脳症は改善. アミノレバン®内服時はNH3値100μg/dL台もしばしばであったが, 腹腔内投与後は30〜50μg/dLと良好. アミノレバン®を腹膜透析液に混注時, 混濁は認められずpHは6程度であり腹腔内注入時の腹痛は認めなかった. アミノレバン®腹腔内投与前は肝不全時に認められる分岐鎖アミノ酸低下が認められ, フィッシャー比1.0 (正常値2.2〜4.3), NH3値133.9μg/dLであったがアミノレバン®腹腔内投与後は分岐鎖アミノ酸の上昇が認められ, フィッシャー比も6.1に上昇, NH3値は37.3μg/dLに改善した.
- 社団法人 日本透析医学会の論文
- 2007-09-28
著者
-
小林 修三
湘南鎌倉総合病院
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守矢 英和
湘南鎌倉総合病院腎臓内科
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大竹 剛靖
湘南鎌倉総合病院腎臓内科
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小林 修三
湘南鎌倉総合病院腎免疫血管内科
-
真栄里 恭子
湘南鎌倉総合病院腎臓内科
-
岡 真知子
湘南鎌倉総合病院腎臓内科
-
真野 勉
湘南鎌倉総合病院腎臓内科
-
池江 亮太
湘南鎌倉総合病院腎臓内科
-
浜崎 敬文
湘南鎌倉総合病院腎臓内科
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大竹 剛靖
湘南鎌倉総合病院腎免疫血管内科
-
岡 真知子
湘南鎌倉総合病院 腎臓内科
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小林 修三
湘南鎌倉総合病院 腎臓内科
-
小林 修三
愛心会 湘南鎌倉総合病院
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真栄里 恭子
湘南鎌倉総合病院 腎臓内科
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浜崎 敬文
東大 医 病院 血液浄化療法部
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大竹 剛靖
湘南鎌倉総合病院 腎免疫血管内科
-
岡 真知子
湘南鎌倉総合病院腎免疫血管内科
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守矢 英和
湘南鎌倉総合病院腎免疫血管内科
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池江 亮太
湘南鎌倉総合病院 腎臓内科
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