ビタミンE固定化ダイアライザによるESA投与量に関する多施設前向き研究
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概要
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【目的】ビタミンE固定化ポリスルフォン膜ダイアライザ(VPS-HA)が,血液透析患者の貧血や,貧血治療薬(ESA)の投与量に影響を与えるか否かを検討した.【方法】主要なエントリー基準は,機能分類IV型ポリスルフォン(PS)膜を3か月以上使用し,直近3か月はTSAT 20%以上で,ESA製剤の変更がなく,ヘモグロビン(Hb)値は10.0g/dL以上12.0g/dL未満を満たす患者とした.研究参加は48施設で,305症例がエントリーされた.エントリー患者を,VPS-HAに変更する群(151名)と,従来のIV型PS膜を継続する群(154名)の2群に分け(中央登録方式),研究開始時のHb値を維持(10.0≦Hb<11.0g/dLおよび11.0≦Hb<12.0g/dL)するESA投与量を主要評価項目とした.その評価指標としてエリスロポエチン抵抗性指数(erythropoietic resistance index:ERI)を用いた.【結果】研究は1年間実施された.目標Hb値10.0≦Hb<11.0g/dLの範囲では差はなかったが,目標Hb値11.0≦Hb<12.0g/dLの範囲で,VPS-HA群はIV型PS膜群に比して良好なESA反応性を示した.とくにVPS-HA群のDarbepoetin alfa(DA)投与例では,8か月以降で開始時と比較して統計的有意差をもってERIが減少していた.またIV型PS膜群のrHuEPO投与症例では,統計的に5,7,10か月で,開始時と比較してERIが増加していた.VPS-HAとIV型PS膜の群間比較では,11か月目でVPS-HA群のDA投与例でIV型PS膜群に比して,ERIが有意に減少していた.【結語】目標Hb値11.0≦Hb<12.0g/dLの範囲で,ビタミンE固定化膜は,IV型PS膜に比べてDA投与量が減少しており,ESA投与量軽減効果が期待できる(UMIN試験ID:UMIN000001285).
著者
-
中澤 了一
東葛クリニック病院
-
重松 隆
和歌山県立医科大学腎臓内科・血液浄化センター
-
草野 英二
自治医科大学腎臓内科
-
衣笠 えり子
昭和大学医学部附属藤が丘病院 臨工
-
望月 隆弘
亀田総合病院
-
大和田 滋
あさおクリニック
-
久野 勉
池袋久野クリニック
-
小林 修三
湘南鎌倉総合病院
-
佐藤 稔
川崎医科大学
-
島田 憲明
江東病院
-
中尾 一志
岡山大学
-
友 雅司
大分大学 医学部生体分子構造機能制御講座(皮膚科)
-
佐中 孜
東京女子医大腎臓病総合医療センター内科
-
野入 英世
東京大学
-
前田 貞亮
前田記念腎研
-
草野 英二
自治医科大学
-
西村 英樹
東京女子医科大学
-
兒島 憲一郎
帝京大学
-
佐中 孜
東京女子医科大学東医療センター
-
衣笠 えり子
昭和大学
-
重松 隆
和歌山県立医科大学
-
友 雅司
大分大学
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