神経ペプチド受容体 : 抗うつ薬創出の新しいターゲット
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ストレス社会を反映して,うつ病・不安障害などのストレス性疾患を患う患者数は増加の一途を辿っているが,現在使用されている抗うつ薬は治療効果および作用発現の速さという点で必ずしも満足できるものではない.最近,種々の神経ペプチドと呼ばれる短鎖アミノ酸がストレス反応において中心的役割を果たす分子として注目されている.神経ペプチドは感情およびストレス反応に関与する脳内の特定部位において生合成され,神経伝達物質あるいは調節物質として機能する.さらに,それらの発現および遊離はストレス負荷によって顕著に変化し,脳内神経回路あるいは神経内分泌系を介して種々のストレス反応を惹起する.神経ペプチドは細胞膜表面に発現するそれぞれの神経ペプチドに特異的な受容体に結合することにより生理機能を発現する.さらに,それぞれの受容体には通常数種類のサブタイプが存在することが知られている.各神経ペプチド受容体サブタイプに特異的な化合物および受容体サブタイプの遺伝子改変動物を用いた行動薬理学的検討により,各神経ペプチド受容体サブタイプの生理機能およびうつ病との関連が明らかになりつつある.これら神経ペプチド受容体の中で,コルチコトロピン放出因子1型受容体,バソプレッシン1b受容体,メラニン凝集ホルモン1型受容体およびメラノコルチン-4受容体はストレス反応との関連が示唆されている.さらに,それぞれの受容体に特異的な拮抗薬が創出され,種々動物モデルにおいて抗うつ作用が認められたことから,これらの受容体の新規抗うつ薬創出のターゲットとしての有用性が期待される.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
- 2006-03-01
著者
-
茶木 茂之
大正製薬株式会社 薬理機能研究所 創薬薬理第1研究室
-
奥山 茂
大正製薬株式会社医薬事業企画部
-
奥山 茂
大正製薬株式会社
-
茶木 茂之
大正製薬薬理機能研究所 創薬薬理第1研究室
-
奥山 茂
大正製薬
-
奥山 茂
大正製薬 創薬研
関連論文
- ストレス関連因子を標的とする抗うつ薬創製のためのアプローチ
- 特異体質性薬物障害の見地かう
- グループII代謝型グルタメート受容体アゴニストの創薬
- Furo[3,2-b]indole Derivatives. V. Synthesis and Structure-Activity Studies of 4-Substituted 2-(4-Methylpiperazinylcarbonyl)-6-trifluoromethylfuro[3,2-b]indole Derivatives with Analgesic and Antiinflammatory Activities(Medicinal Chemistry,Chemical)
- マウスの実験的慢性炎症性疼痛に対する各種鎮痛薬の作用
- 新規MC4受容体拮抗薬MCL0129(1-[(S)-2-(4-Fluorophenyl)-2-(4-isopropylpiperadin-1-yl)ethyl]-4-[4-(2-methoxynapthalen-1-yl)butyl]piperazine)の抗うつ作用
- 初代培養神経細胞を用いたin vitro実験系におけるσ-1受容体の薬理学的特性
- Furo[3,2-b]indole Derivatives. III. : Structure-Activity Studies of 4,6-Disubstituted N-(3-Piperidinopropyl)furo[3,2-b]indole-2-carboxamide Derivatives for Analgesic and Antiinflammatory Activities
- Furo [3,2-b] indole Derivatives. II. Synthesis and Analgesic and Anti-inflammatory Activities of 4-Alkoxycarbonyl-2-morpholinocarbonylfuro [3,2-b] indole Derivatives
- 特異体質性薬物毒性
- 躁うつ病 (特集 精神神経疾患の分子的理解と創薬のアプローチ)
- 新規MC4受容体拮抗薬 MCL0129(1-[(S)-2-(4-Fluorophenyl)-2-(4-isopropylpiperadin-1-yl)ethyl]-4-[4-(2-methoxynapthalen-1-yl)butyl]piperazine)の抗不安作用
- メラノコルチン-4受容体
- CRF受容体
- 神経ペプチド受容体 : 抗うつ薬創出の新しいターゲット
- 初代培養神経細胞におけるσ-1受容体を介したσリガンドの細胞内移行
- 製薬企業の研究とは何か?
- ラット膀胱ならびに尿道におけるα_1-アドレナリン刺激剤の分布 : 第79回日本泌尿器科学会総会
- σリガンドの新薬としての可能性 (薬物受容体研究の新動向)
- α_1-アドレナリン刺激剤(Midoarine hydrochloride)の雌犬膀胱,尿道に対する尿水力学的作用およびその分布 : 第79回日本泌尿器科学会総会
- 雌ラット膀胱,尿道におけるα_1-アドレナリン刺激剤の組織内濃度と局在
- 雌イヌの膀胱,尿道に対するα_1-アドレナリン刺激剤の尿水力学的作用
- シグマ受容体リガンドの抗精神作用
- 非ステロイド性抗炎症薬Oxaprozinの鎮痛・解熱作用
- ストレス関連因子を標的とする抗うつ薬創製のためのアプローチ
- 序文
- σ リガンドの新薬としての可能性 : 薬物受容体研究の新動向
- 代謝型グルタミン酸受容体をターゲットとした新規抗精神病薬の創製
- グループII代謝型グルタミン酸受容体をターゲットとした新規統合失調症治療薬の創製
- 統合失調症治療薬の研究開発序文
- グループII代謝型グルタミン酸受容体をターゲットとした新規統合失調症治療薬の創製